ヤンバルクイナたくましく ヘビ捕食 国頭村で初撮影


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リュウキュウアオヘビに接近し、くちばしを開けるヤンバルクイナ=2014年9月26日午前9時47分、国頭村(国立研究開発法人「森林総合研究所」提供)

 【国頭】国の天然記念物ヤンバルクイナが自らの体長の2倍近い推定全長58センチのリュウキュウアオヘビを捕食する様子が国頭村の西銘岳付近の森林で記録されていたことが分かった。国立研究開発法人「森林総合研究所」と県森林資源研究センター、琉球大が共同研究で設置した自動撮影カメラで2014年9月26日に撮影した。ヤンバルクイナの生態は未解明な部分が多く、自分の体より長い大型のヘビを補食した写真記録は初めてとみられる。

 有効な保全策を確立するために生態解明が不可欠な中、ヤンバルクイナとヘビ類の相互関係を把握するための貴重な記録の一つとして期待される。(古堅一樹)

ヤンバルクイナにくわえられた上で地面に打ち付けられ、あおむけになるリュウキュウアオヘビ=2014年9月26日午前9時48分、国頭村(国立研究開発法人森林総合研究所提供)
自らの2倍近い体長のリュウキュウアオヘビを捕食するヤンバルクイナ=2014年9月26日午前9時48分、国頭村(国立研究開発法人森林総合研究所提供)

◆多様な動植物エサに/地道な調査望む声も
 【国頭】ヤンバルクイナがリュウキュウアオヘビを捕食する様子は、国立研究開発法人森林総合研究所などが設置した自動撮影カメラで、2014年9月26日午前9時47分から同51分の間に撮影された18枚の写真に記録された。ヘビにヤンバルクイナが接近し、襲い始めてから捕食するまでは約3分間だった。
 同研究所九州支所の小高信彦主任研究員と自然体験ツアーなどを実施する任意団体「Yanbaru Green」の大城勝吉さんが共同でまとめた論文が31日発行の九州森林学会の研究誌「九州森林研究」に掲載される予定だ。
 ヤンバルクイナは雑食性。これまでカタツムリの仲間やミミズ、体長20センチ前後のブラーミニメクラヘビを食べたことは確認されているが、今回のように大型のヘビの補食は記録されたことがない。
 小高さんは「外来種の影響の少ない健全な森林生態系で、たくましく生きていることが分かった」と指摘。一方、写真家の久高将和さんは、記録などには無くても、ヤンバルクイナがヘビを含む幅広い動植物を食べてきたと指摘し「生態が何も分かっていない中で保護策をしても前に進まない」とし、地道に調査を続ける必要性を語った。