本部の老舗「朝日旅館」きょう閉館 創業115年に幕


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115年の歴史を終える朝日旅館。代表の仲宗根キミ子さん(左)と夫の勝さん=5日、本部町東の同旅館前

 1901(明治34)年に、現在の琉球銀行本部支店の場所(渡久地4番地)で旅館を創業した。始めたのは、現在代表を務める仲宗根キミ子さん(70)の義理の祖父・仲宗根源五郎さん。キミ子さんの夫・勝さん(74)の祖父になる。

 3代目のキミ子さんは21歳で勝さんと結婚。嫁いだ直後から約50年間、泊まり客をもてなしてきた。

 1975年の沖縄海洋博の開催に合わせて、現在の本部町役場隣(東234番地)に移り、旅館を改築。一番忙しかったのは海洋博工事期間で、1日最高40人の食事の準備や清掃と、キミ子さん1人では無理で、勝さんや近所の知り合いの手も借りて乗り切った。

 オール個室、民泊スタイルで、ビジネスでの長期滞在にも対応した。

 サラリーマンだった勝さんは旅館の手伝いもしながら、人権擁護委員や同町の行政委員などを歴任し、地域でも活躍した。

 同旅館はこれまでに県商工会連合会の100年企業の表彰も受賞している。

 キミ子さんは「大阪から嫁に来て沖縄の方言に慣れるのに苦労したが、地域のためによく頑張れたと思う」、勝さんは「お客さんと顔と顔を合わせ話せるのは楽しかった」と振り返った。

 閉鎖を記念して、地域への感謝と恩返しのために同町東区の行政運営に役立ててほしいと、朝日旅館から同区に5万円が寄贈された。
(上間宏通信員)