帆掛けサバニ 航海実習 沖縄水産高


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伝統の帆掛けサバニで片道14キロの航海実習をする沖縄水産高校の生徒ら=26日、糸満市沖

 沖縄水産高校海洋技術科船長コースの3年生12人が26日、古く糸満漁師が操った帆掛けサバニで糸満沖約14キロにあるルカン礁を往復する航海実習をした。糸満帆掛サバニ振興会が所有する2艇一組の「組み船」と単船1艇に乗り込み、懸命にエーク(櫂(かい))をこいだ。

 ハーリーなど競漕(きょうそう)のサバニは櫂でこぐだけだが、戦前のサバニは帆を立て風を利用して遠洋航海に出た。実習には伝統の継承に取り組む振興会の会員が同行して帆やかじの調整をした。ただ、この日は風がなく、波一つ立たない海面は鏡のよう。帆の推進力が乏しい中、生徒らはかけ声を掛け合ってエークを操り、はるか先のルカン礁を目指した。

 炎天下を予定より1時間近く長い約3時間をかけてルカン礁に到着した生徒らは弁当を食べ、小さな魚が数えられるほど澄んだ海に飛び込んで涼を取った。新里吏功(りく)さん(18)は「こいでもこいでも近づかなかった。昔のうみんちゅはすごい」と思いをはせた。カヌー部でインターハイに出場する諸見川龍之介さん(17)も「風がなくて大変だった。着いた時は達成感があった」と笑顔を見せた。