我らのヒーロー、地域の誇り ドラフト指名続々、沖縄沸く


この記事を書いた人 Avatar photo 与那嶺 明彦

 プロ野球のドラフト会議があった26日午後、指名された沖縄4選手の出身地では家族や親類、同じチームで汗を流したメンバーらが集まり、会議の行方を見守った。指名の瞬間、「やったぞ」「プロ入りできると信じていた」「夢みたいだ」と歓喜の声が湧き起こった。指名に安堵(あんど)の笑顔を浮かべる両親や、少年野球チームの頃の活躍を思い出し、涙を浮かべるコーチの姿も。「わったー(我々)のヒーロー」の誕生に感激の輪が広がった。

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神里選手指名のお祝いに駆け付けた周辺の住民らと家族、親類ら=26日、沖縄県南風原町
神里和毅選手

DeNA2位・神里選手/地域の誇り 歓喜

 横浜DeNAベイスターズの2位指名選手の名前を聞いた瞬間、神里和毅選手(23)が育った南風原町の山川集落センターに集まった地域住民から歓声と拍手が湧き起こった。

 神里選手が小学校4年生から所属した地元の少年野球チーム・山川ミラクルズのコーチ三浦正雄さん(65)は「小柄だったが足は速く、守備も上手で野球のセンスが光っていた」と語り「こんなにうれしいことはない」と感激の涙を浮かべた。監督の神里智さん(58)も「うまくなるとは思っていた。練習熱心な子だった」と声を弾ませた。

 神里選手の同級生らが続々と集まった。共に練習に励んだ神里尚志さん(24)は「指名の瞬間、全身に鳥肌が立った」と話し、「自慢できる友、選手として活躍してほしい」と期待を込めた。

 かつてプロ野球を目指した父の昌二さん(57)は「夢がかなってうれしい」と笑顔を見せ「1軍に出られるよう、周りにあこがれられるような選手になってほしい」と期待した。

巨人3位・大城選手/2年越し 家族笑顔

巨人3位指名を喜ぶ大城卓三選手の家族ら=26日、那覇市首里の実家

 巨人に3位指名されたNTT西日本の大城卓三選手(首里中―東海大相模高―東海大出)の那覇市首里の実家には26日夜、親族や小学校時代の監督が集まった。2年越しの指名に大きな拍手が湧き起こった。

 昨年、指名から漏れた大城選手の言葉にならないほどの喜びを電話口で直接聞いた母の淳子さん(53)は「本当に良かった」と安堵(あんど)の表情を浮かべた。ずばぬけた打力を持つ大城選手を「幼い頃からどんな球でも打つことができた」と小学野球チーム城西のコーチを務めた父の昌人さん(54)。「プロでも頑張ってほしい」とエールを送った。

西武4位・平良選手/同級生「自慢に」

 【石垣】西武ライオンズが八重山商工高校の平良海馬(かいま)投手をドラフト4位で指名したことに、同校で平良投手と共にドラフト会議を見守っていた教員や保護者会、野球部メンバーらは歓喜に沸いた。

 野球部で同級生の徳元亮真さん(17)は「早く1軍デビューしてみんなが自慢できる選手になってほしい」と期待した。

 指名後の会見に同席し、地域や関係者への感謝の言葉を重ねた母親の智子さん(46)は「卒業後の進路が決まって安堵(あんど)したが、厳しい世界なので、覚悟を持って進んでほしい」と激励した。

西武5位・與座選手/仲間の支え感謝

 「本当に指名はあるのか」と期待と不安が入り交じった中でドラフト会議の様子を浦添市の自宅のテレビで見詰めていた時、西武5位で與座海人選手の名前が呼ばれた。父の貞央さん(61)は「突然名前が聞こえ驚いた」としながらも、「子どもの頃からの夢をかなえた。大学に入り周りの支えもあり、花開いた」と素直に喜んだ。

 長男の央人さん(27)や次男の健人さん(24)を追い掛け、小学低学年から野球に打ち込んだ。「努力をする兄たちがいたから、今がある」(貞央さん)と話し、プロでの活躍に願いを込めた。