渡り鳥と奇跡の再会 24年ぶり、最長寿アジサシ確認 渡嘉敷で同一個体


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長寿記録を更新したエリグロアジサシ(右)とベニアジサシ=7月5日、渡嘉敷村チービシ(山階鳥類研究所提供)

 約24年越しの奇跡の再会―。山階(やましな)鳥類研究所(千葉県)の尾崎清明副所長が今年7月に沖縄県の鳥獣保護区渡嘉敷村チービシで実施した渡り鳥調査で、自らが1993年7月に足環を装着したベニアジサシとエリグロアジサシをそれぞれ1羽ずつ再捕獲した。両個体は少なくとも23年11カ月以上生存しており、国内の野生アジサシの最長寿記録を更新した。尾崎副所長は「5~10年越しの再捕獲はたまにあるが、20年以上の再捕獲は非常に珍しい」と述べた。

 両種とも夏の渡り鳥で、環境省レッドリストの絶滅危惧種に指定されている。鳥類標識調査の一環で93年7月27、28日にチービシを訪れ、両個体に足環を取り付けた。いずれも生まれて1週間に満たないひなだった。約30年、同地での調査を続ける中で両個体を再捕獲した。これまでのベニアジサシの最長寿記録は21年5カ月で、エリグロアジサシは16年0カ月だった。

 尾崎副所長は「琉球列島のアジサシの繁殖個体数は減少しつつある。今後も人と鳥が共存できる豊かな自然環境を守っていくことが大切だ」と訴えた。(当銘千絵)