“先輩の黄色”鮮やかに復活 八重山農林高、マリーゴールド反物 染め直す


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先輩たちが染色したマリーゴールドの反物を染め直した八重山農林高校ライフスキル科2年の生徒ら=石垣市伝統工芸館

 【石垣】沖縄県の八重山農林高校の歴史が詰まったマリーゴールド染めの反物が、再び鮮やかな色を取り戻した。24年前に日本学校農業クラブ全国大会で最優秀賞を受賞した当時の生徒たちが染めた反物を再現した物で、現在の同校ライフスキル科の生徒が約15年ぶりに染め直した。鮮やかによみがえった反物は、20日の創立80周年記念式典で展示する。

 反物は、1993年にマリーゴールド染色における色の定着などについての研究発表で製作された。発表は全国大会で最優秀賞を受賞した。その後、すり切れがひどくなったため約15年前に一度作り直された。しかし再現された反物も校内で展示されるうちに、次第に色あせてしまったという。

 創立80周年を控え、「先輩や後輩に見せられない」と2017年3月まで校長を務めた渡久山修さん(61)が在職時、講師として2回の染色に関わってきた平良佳子さん(59)=石垣市織物事業協同組合理事長=に染め直しを相談し、再び染め直しが実現した。

 染め直しは昨年12月下旬に市伝統工芸館で行われた。染液の原料となるマリーゴールドは同校生徒が栽培し、農業祭で飾られた物を使用した。色あせた反物は染液や酢酸アルミニウムの液に漬けられ、黄色に再び染められた。渡久山さんは「80周年記念式典に間に合って良かった」とほっとした表情を浮かべた。

 染め直しをした伊計空さん(16)=2年=は「先輩たちがやってきたものを受け継げたのはうれしい。これからも引き継いでほしい」と笑顔を見せた。