教員生活、母校で“卒業” 寄宮中、定年の上地教諭を生徒激励


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生徒と教職員が見守る中で行われた上地るり子教諭(手前中央)のサプライズ卒業式=22日、那覇市立寄宮中学校体育館

 るり子先生、教員生活35年間お疲れさまでした。そして、ありがとう―。那覇市立寄宮中学校の45年前の卒業生で、その母校で定年を迎えた上地るり子教諭(60)が22日、同校で教員生活に別れを告げた。最後の理科の授業を終え、生徒がつくる花道に導かれて体育館に到着すると、「サプライズ卒業式」が待っていた。上地教諭は母校で人生2回目の卒業証書を受け取った。

サプライズ卒業式を終えて花道を通る上地教諭

 卒業式は上地教諭が担任を受け持った3年4組の生徒らが企画した。式には在校生全員が参加。教え子を代表して3年4組の生徒が上地教諭に卒業証書を手渡した。証書には「先生の生徒になれて本当に幸せでした」などと思いがつづられていた。全校生徒からのメッセージや手作りの出席簿も贈られた。

 上地教諭は「教員生活の最後に念願の母校で担任を持てて、幸せ」と笑顔を見せた。「先が見えなかった若い頃は何度も辞めようと思った。私より先に(交通事故などで)何人も教え子を亡くした。先が見えたのは最後の1年。最後までやり続けて良かった」と教員人生を振り返った。

 3年4組の生徒は上地教諭の人柄について「『当たって砕けろ』が口癖。優しくて個性的で天然で、私たちの意見を否定しない先生。宇宙に行くという大きな夢を持っている人」などと話し、「5年後の成人式で会いましょう」と誓った。この日職員室の上地教諭の机は、花束や電報であふれていた。(中川廣江通信員)