色鮮やか紫1万株 本部「あじさいばあちゃん」の遺志継ぎ運営


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斜面に咲くあじさいを楽しむ人たち=17日、本部町伊豆味のよへなあじさい園

 1万株のあじさいが咲き誇る沖縄県本部町伊豆味の「よへなあじさい園」が今年も開園した。空梅雨気味の天候もあり、現在は5分咲きで、花も小ぶりだが、鮮やかな紫色の花が訪れる人々を楽しませている。

 17日、同園では国内外から観光客が訪れ、日傘を差して、ゆっくりと園内を巡ったり、スマートフォンやカメラを使って記念撮影したりする姿が見られた。町内から大学の友人と訪れた池原颯さん(21)=名桜大学4年=は「斜面を見渡すほどのアジサイがきれいだと感じる」と話していた。

■子らが遺志継ぎ運営

あじさい園の運営にあたる(左から)四男の饒平名知吉さん、四女の宮城百利子さん、知吉さんの妻の和枝さん=17日、本部町伊豆味のよへなあじさい園

 山の斜面いっぱいに映える紫の花々。「あじさいばあちゃん」と親しまれ、4月に100歳で亡くなった饒平名ウトさんが造り上げた「よへなあじさい園」は、饒平名さんの死後も子どもたちが運営を続けている。今年は空梅雨の空模様が続くが、1万株の花は徐々に開花の時を迎え、来場者を待ち構えている。 

 饒平名さんは、戦後間もない頃からミカンなどを栽培し生計を立ててきた。約50年前、畑に彩りをと2株のアジサイを植え、接ぎ木をしながら数を増やすと、その美しさから口コミで評判を呼ぶようになった。2001年にあじさい園を開き、外国人観光客も訪れるようになった。

 園では定年を迎えた饒平名さんの子どもたちやその家族が、枝切りや来園者の対応など運営に当たっている。来園者が増える休日などは、孫たちも駐車場整理に立つなど、饒平名さんの遺志を継ごうと一家総出で取り組む。

 沖縄市から通って運営に携わる四女の宮城由利子さん(67)は饒平名さんを「いつもお客さんが花を見る姿を見て喜んでいた」と振り返る。宮城さんは「県外からのリピーターも来るようになった。母の思いを継いで頑張っていきたい」と意気込みを見せた。

 満開は6月末ごろの見込み。営業時間は午前9時から午後6時半だが、柔軟に対応するという。入園料は大人400円、小中高校生が200円。開園期間中は無休。問い合わせは(電話)0980(47)2183。