台風一過 伝統のハーリー 酒瓶目指し競漕 海の神に感謝


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御願ハーリーで、声援に応えて力強いかいさばきを見せる前ンティーの男性たち=17日、糸満市の北名城ビーチ
赤の後(クシ)ンティーの追い上げを振り切り、酒瓶を手にした青の前(メー)ンティー1番エークの玉城薫さん

 【糸満】旧暦5月4日のユッカヌヒーに当たる17日、青空に恵まれた沖縄県糸満市の北名城ビーチで名城ハーリーが行われた。830メートルの競漕に加え、1番エークが浜の棒につり下げられた酒瓶をつかむまでが勝負。前(メー)ンティー、中(ナカ)ンティー、後(クシ)ンティーの3集落で競う御願ハーリーは、前ンティーが2連覇を果たした。

 御願ハーリーで酒瓶をつかんだ玉城薫さん(32)は「連覇はなかなかない。うれしいのひと言に尽きる」と顔をほころばせた。御願ハーリーの後の青年ハーリーで勝利した後ンティーの新垣哲也さん(43)は「伝統はずっと受け継ぎたい」と語った。

 名城ハーリーは、浜の近くの島「エージナ」に住む海の神「イビガナシー」のために静かに行わなければならないとされ、鐘打ちはいない。伊敷幸昌自治会長(70)は「酒瓶は、神にささげるお神酒の意味もあるかもしれない。台風も逃げてくれて無事に開催できて良かった」と話した。