キングス、Vへの青写真鮮明に A東京に敗戦も収穫 プレーの遂行力や確実性が課題に 【CS総評】


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 プロバスケットボールBリーグ1部の琉球ゴールデンキングスは4、5、7の3日間、沖縄市体育館で行われたチャンピオンシップ(CS)2018―19準決勝で、昨季リーグ覇者のアルバルク東京と第3戦までもつれ込む接戦を繰り広げた。だが、プレーの遂行力や確実性、ワンプレーへの自信の差を痛感する敗戦で今季を終えた。

CS準決勝第3戦 試合後、集まったファンに向けてあいさつする佐々宜央HCと琉球ゴールデンキングスの選手ら=7日夜、沖縄市体育館

 レギュラーシーズンは、ジョシュ・スコットのけがによる戦線離脱から始まり、けが人も相次いだ。一時はCSの望みも消えかける危機的状況になったが、団結して勝利を積み重ね西地区優勝を果たした。

 CS準々決勝の名古屋ダイヤモンドドルフィンズとの第1戦はエナジーの差で出鼻をくじかれた。第2戦は3600人のファンが後押し。今季後半から調子を上げた古川孝敏の活躍で撃破に成功。第3戦は岸本隆一が短い出場時間で得意の3点弾を決め続けて逆転勝利。意思統一されたチームディフェンスとファンの大声援で勝ちきった。

 準々決勝でワイルドカード上位のA東京が勝ち上がったため、準決勝はホーム開催。第1戦は今季課題としてきたターンオーバーの続出で自滅の敗戦。だが、第2戦は40分間ハードに戦う姿勢がA東京のミスを誘発。橋本竜馬、田代直希、須田侑太郎がボールへの執着心を発揮して逆転勝利をつかんだ。

 第3戦は互いの守備が「格闘技のような激しさ」(佐々宜央HC)でぶつかる熱戦だったが、第2Qで個々の能力の高さに加えて連係精度の高いA東京がもう一段階ギアを上げキングスを突き放す。後半はキングスも反撃したが、それを許さないA東京の強さを見せつけられた。

 A東京戦での敗北に佐々HCは「惜しい(内容)とはいえない」としたが、岸本隆一は2016年Bリーグ開幕戦で敗れた歴史を振り返り「今は勝てない相手ではない」とチームの成長に手応えを示す。

 来季は陣容が変わり新たなキングスとなる可能性もある。それでも、試練を乗り越えて決勝進出に王手を掛けた実績をみれば、悲願の優勝というイメージを今まで以上に鮮明にできたシーズンだった。
 (嘉陽拓也)

…………………………………………………………………………

日本一のクラブに

 7日試合終了後の佐々宜央HCの話 自分自身(就任)2年目で新しい選手も入った。外国人選手も流動的で、けがと戦いながらも勝ち上がり、チームとまとまって同じ目標に向かった。CSに入り組織的にチームで戦えた。それでも負けたのは足りないこと。もっとやらないと。

 (ファンには)感謝の気持ち。僕がバスケはじめたころプロリーグがなくて。アメリカで育ってNBAを見て、将来、日本がファンと盛り上がる文化になればいいなと。30歳でキングスにきて、語弊もあるかもしれませんが、幸せな2年間でした。キングスは続いていきますし、優勝を届けるのが僕らの恩返し。優勝を狙える位置に居続けてほしい。

 キングスはもっとでかい組織になりますし。優勝だけでなく、日本一のクラブになってほしい気持ちでいっぱい。

…………………………………………………………………………

得点奪取が原点

 7日試合終了後の岸本隆一の話 シーズン通して思うのは自分のプレーが定まらなかった。今は反省の弁は言いたくないが、ゲームをコンロールする訳でもなく、点数に執着する訳でもない、どっちつかずな状態でチームに貢献できなかった。

 今季始まる前は自分の中でうまくいっていて、このままうまくいくと考える自分がいた。でも人生と似てて甘くない。今季に入る前の準備不足が一番の課題と反省点。ただ、こういう状況に置かれないと感じ得ないこともたくさんあって、きれい事で片付けられない部分も経験した。今後の自分のキャリアを考えたときすごく、これでやっていくしかない、という覚悟を今もっている。

 得点に執着することを原点に持っていて、点数を取ることで周りを生かしてきたよなと。点数を取るスキルや戦術の理解度を挙げて、短い時間でどれだけ点数を取れるかやっていくしかない。それが岸本隆一じゃないかと思える。それがうまくいかない時に自分自身は後悔がないので、そのスタイルに覚悟を持って取り組みたい。