「祖父も聴いてくれた」 大城さん凱旋の歌声


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 【ブエノスアイレス=アルゼンチンで松堂秀樹】ブエノスアイレス出身の歌手で、現在日本で活躍する県系二世の大城クラウディアさん(28)のコンサートが12日、ブエノスアイレスのアルゼンチン沖縄県人連合会館で開かれた。

県系人や地元アルゼンチンのファンら約500人が詰め掛け、クラウディアさんの歌声に聞き入った。
 クラウディアさんはコンサート3日前に祖父大城豊秀さん=享年(87)=を亡くしたばかりで家族は一時、コンサートの中止も考えた。クラウディアさんは「沖縄は私の故郷。沖縄からこの国に来たおじいちゃんもきっと歌を聴いてくれていた」と話した。
 クラウディアさんはアルゼンチンの大スター、アルフレッド・カセーロが2001年にカバーし一位の大ヒットとなったTHE BOOMの「島唄」のレコーディング参加をきっかけに歌手の宮沢和史さんと出会った。現在は宮沢さんのソロ・プロジェクト「GANGA ZUMBA」のメンバーとして東京を拠点に活躍。07年にソロアルバム「Claudia」を発表した。
 クラウディアさんの帰郷に合わせ、家族らがコンサートを企画。日本でデビューして初の凱旋(がいせん)コンサートとなるため、家族らはクラウディアさんとメールで連絡を取りながら準備に奔走した。最も心待ちにしていたのは豊秀さんだった。
 豊秀さんが亡くなり、父敏生さん(57)や母つねこさん(57)らはコンサートを中止し喪に服すことも考えたが「一番楽しみにしていたおじいちゃんのためにも開催することにした」。
 コンサートではアルゼンチンタンゴや琉球民謡、「島唄」など17曲を披露。「遠い道」では「離れていてもいつも見ている。抱きしめてあげたいと思うたび季節が離れていく」としっとりと歌い上げた。

親類やファンなど大勢の人であふれたクラウディアさんのコンサート=12日、アルゼンチン・ブエノスアイレスの沖縄県人連合会館