平成の名牛ありがとう 古堅モーターズ号、引退式に100人


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<引退式>牛主の佐久川政秀さんから“草束”を贈呈される古堅モーターズ号=8日、読谷村古堅

 【読谷】闘牛の沖縄全島一に2度輝くなど、名勝負を繰り広げた平成の名牛・古堅モーターズ号が、体力の衰えなどを理由に11月の第98回秋の全島闘牛大会を最後に引退した。

同村古堅の牛舎で8日、引退式が開かれ、闘牛ファンら約100人がこれまでの労をねぎらった。牛主の佐久川政秀さん(55)は「自分の子どものように毎日一緒にいた。ありがとう。第二の人生でも幸せになってほしい」と話した。モーターズ号は種牛として与那国島に渡る。
 古堅モーターズ号の2006年から12年11月までの戦績は14勝5敗。鋭い角を相手の顔面などに突き立てる「割り技」から相手の腹に回り込んですくい上げる「腹取り速攻」を繰り出す攻撃型だった。
 中でも10年3月、酋長若虎にリベンジを果たし、初の全島一に輝いた対戦はファンを沸かせた。佐久川さんは「ドームがはち切れんばかりの大歓声だった」と名勝負を振り返る。
 モーターズ号は13歳で、人間にすると還暦を超えるという。佐久川さんは「『もうこれ以上はできない』と言っていると思う。惜しまれるが、ここが引き際だ」と、モーターズ号を見詰める。
 闘牛解説者の宮城邦治沖国大教授は「沖縄闘牛界をけん引し、盛り上げた平成の名牛だ。心を込めてご苦労さまと言いたい。感動をありがとう」と話した。
 闘牛ファンの石嶺伝実村長も駆け付け「闘牛界の千代の富士と呼ばれた。沖縄の闘牛場に2世が戻ってくるよう期待しよう」とあいさつ。「沖縄の闘牛は、けがをして食べられるのが宿命だが」と話すと、モーターズ号が「モー」と抗議。同村長が「モーターズ号、あなたは食べない」と呼び掛ける場面もあった。
(大城和賀子)