「奄美・琉球」世界自然遺産へ 暫定リスト記載


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 【東京】政府は31日、世界遺産条約関係省庁連絡会議を外務省で開き、2003年に世界自然遺産の候補地に選ばれた「奄美・琉球」(鹿児島、沖縄両県)を世界遺産暫定一覧表(暫定リスト)に記載することを決めた。

リスト記載は本登録に向け、政府が正式に推薦するための前段の作業。今後、国内5カ所目の世界自然遺産本登録を目指す。暫定リスト登録は11年6月に本登録された「小笠原諸島」以来、6年ぶり。
 世界自然遺産の本登録決定まで大きく2段階の審査過程があるが、候補地選定後10年を経て、県民悲願の世界自然遺産本登録に向け大きく前進した。
 政府は近く、世界遺産条約事務局の国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界遺産センターに同リストを提出。今後、推薦区域の指定を含め、正式な推薦書の提出に向けた手続きや準備を本格化させる。
 推薦の条件となる国立公園化など、保護地域の指定や拡張に向けた調整などに時間がかかる見込み。
 会議後、会見した環境省自然環境計画課の亀澤玲治課長は、「本登録までは早くても3年かかる」との見通しを示した。小笠原諸島は07年1月に暫定リスト入りし推薦書送付まで3年、本登録まで4年かかっている。
 「奄美・琉球」は、この地域だけに残された遺存固有種(環境の変化などで特定地域にだけ取り残された種)が分布しており、島々が分離・結合を繰り返す過程で独自の進化が進んでいることや、国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストに掲載されている国際的希少種の生息・生育地で、世界的な生物多様性保全上、重要な地域であることが高く評価された。

英文へ→Amami and Ryukyu islands on World Heritage list

イタジイなどの常緑広葉樹がうっそうと生い茂るやんばるの森=2010年10月15日、国頭村