「本ハギ」「南洋ハギ」伝統サバニ完成 糸満で進水式


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 【糸満】本部町の海洋博公園海洋文化館が糸満市の舟大工に発注していた2隻のサバニがこのほど完成した。4日、同市の糸満漁船保全修理施設ドック前の浜で進水式(シナウルシ)が催され、多くのサバニ愛好家が集まった。

 今回製造されたのは、複数の材木をはぎ合わせたサバニ「本ハギ」と「南洋ハギ」の2隻。このうち、南洋ハギは市内の2人の舟大工にしか製法が伝わっておらず、現存数が少ない希少な舟。それぞれ昨年末に完成した。
 シナウルシの前に、サバニ製造を請け負ったNPO法人ハマスーキの上原謙理事長(69)や舟大工が舟にお神酒や塩、米などをかけて御願をした。お祈り後、ドラや太鼓が鳴り響く中、新造サバニが海へと運ばれた。集まった愛好家を乗せて、試し漕(こ)ぎが行われた。
 南洋ハギを造った大城昇さん(61)は「このサイズの大きさの南洋ハギを造るのは初めてで、資料がなくて苦労したが、恥ずかしくない出来栄えだ」と喜んだ。弟子と一緒に本ハギを担当した大城清さん(62)は「みんなが喜んでくれてよかった。文化館に展示されることで、もっと多くの人に興味を持ってもらえるのではないか」と期待した。
 糸満漁民文化を伝える漁具や舟を展示している市西崎の糸満海人工房・資料館の代表も務める、上原理事長は「糸満の海人文化が文化館に展示されることを誇りに思う。今後は、舟大工の後継者不足を解決するために、サバニをマリンスポーツなどで普及させたい」と話した。
 完成したサバニは、3月までに海洋文化館に納品される。(梅田正覚)

<進水式>完成したサバニにお神酒をかける舟大工の大城昇さん(右)=4日、糸満市
進水式で、完成した本ハギ(左)と南洋ハギに乗りこみ、海に漕ぎ出す参加者=4日、糸満市