<キラリ大地で>ワシントンD・C 真奈美・ハッセル知念さん(42)


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ワシントンDC沖縄会副会長の真奈美・ハッセル知念さん。右は息子のカデン君、左は娘のアイリンさん

 「そのエネルギーは、どこからきているわけ?」との問いに「ウチナーンチュだから」と満面の笑みで真奈美・ハッセル知念さん(42)(旧姓・知念、那覇市出身)は即答した。
 3年前、裁判官である夫のジョンさんの転勤でワシントンDCに引っ越して来て以来、真奈美さんは、妻、母、学生と三足のわらじ以外に子供の学校でのボランティア活動、そして沖縄県人会の役員として、どれをもパワフルにかつ完ぺきにこなしてきた。その上、ピアノ教師だったり、料理に関していえば、真奈美さんの右に出るものはいないと言われるほどの腕前が評判でまさにマルチタレントの持ち主だ。
 真奈美さんは、琉球大学の英語科を卒業後、英語力が買われて、米軍犯罪捜査官となった。沖縄では、真奈美さんが、女性第1号だった。そこで検察官だったジョンさんと知り合い結婚し、イタリアに移転した。
 当時、真奈美さんが住んでいたイタリアでは、日本食料品は限られていた。納豆が食べたい一念で、友人と2人で手作り納豆に挑戦した。大豆を準備し、ドイツで手に入れた冷凍の納豆を掛け合わせ、炎天下の車の中で発酵させ、手作り納豆第1号を完成させた。その後も試行錯誤を繰り返し、今では、ヒートパットで食品添加物のないおいしい納豆を作っている。
 それは、県人会のメンバーたちにも広まった。「食への関心は、家庭科の先生だった母親からの耳学問が原点となっている」と真奈美さん。食べること、また人に食べてもらうことが好きで、ホームパーティーも気楽に行うと言う真奈美さんのキッチンの戸棚には、香辛料や調味料がぎっしり詰まっている。絶えず探究心をもって新しい料理に挑戦するという。和食、洋食、エスニック料理何でもござれだ。手作りのパンやデザート等も好評だ。
 妥協を許さない真奈美さんは、学業にも専心し、教科のすべてを優秀な成績で終わらせ、今月、経営学の学士コースを修了させた。「大学のコースを修了させるのに、夫や近所に住む友人のサポートがなければできなかった。友人に恵まれた」と話す。「近い将来、学んできた知識を生かして、食に関連したビジネスができたらと考えている。学ぶ事は、ずっと続けたい」と笑顔。
 ワシントンDC沖縄会の副会長になりますます忙しくなった真奈美さんは、一昨年の県人会の新年会で司会の大役も果たした。その間子供らの教育にも情熱を傾けてきた。昨年の夏、息子のカデン君(10歳)と娘のアイリンちゃん(9歳)を連れて6年ぶりに里帰りした。城北小学校に体験入学させ、宮城修空手道場で空手を学ばせた。「この経験は、子供たちに人を受け入れることの大切さを学ばせてもらった。快く受け入れてくれた小学校と空手道場に心から感謝している」と話した。今後の真奈美さんの活躍が楽しみだ。
(鈴木多美子通信員)