中城村奥間区55年ぶり獅子新調 「地域の守り神」に入魂


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入魂式で55年ぶりに新調した獅子に祈りをささげる奥間区民=14日、中城村の奥間区公民館

 【中城】中城村奥間区自治会(山城興淳自治会長)は14日、55年ぶりに新調した獅子の入魂式を同区公民館で開いた。参加した区民は、新たな「地域の守り神」に祈りをささげた。

山城自治会長は「獅子の新調は、長い間気に掛けていたことの一つだった。強さを感じさせる姿に仕上がったので、これから区民の守り神としてしっかりと見守ってもらいたい」と話した。
 奥間区の獅子舞は戦前から戦後にかけて、毎年旧暦八月十五夜に区内を道ジュネーしていた。沖縄戦で消失した後に新たに獅子を製作したが、品質が良くない素材で作られて朽ちてしまったため、獅子舞も途絶えてしまっていた。
 獅子舞の復活が区の懸案事項となっていたが、山城自治会長を中心にこのほど新調することを決めた。8月31日に新調された獅子が区民に披露され、この日の入魂式を迎えた。19日の十五夜には区内で道ジュネーを行う予定。
 獅子を作った仏像彫刻師・獅子工の仲宗根正廣さんは「地域の人の情熱を感じ、やりがいのある仕事だった。戦争で失われてしまったものや、なくなりつつある文化を守っていくのは重要なことだと思う」と語った。
 今回新調された獅子は仲宗根さんらが製作し、胴体部分の色とりどりの編み込み作業は区民の協力も得て作られた。山城自治会長は「今後は保存会も立ち上げ、若い世代に受け継いでもらう。地域の文化を通して、区民全体で奥間を盛り上げていきたい」と話した。