【フランス】「沖縄、日本との懸け橋を目指す」 ピアノソロ1位・新崎誠実さん


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第38回クロード・カーン・ピアノコンクールで1位になった新崎誠実さん

 パリ市で3月10日に開かれた第38回クロード・カーン・ピアノコンクールのピアノソロ部門で1位に輝いた新崎誠実さん(23)にインタビューした。
 新崎さんは県立芸大4年でパリ市国立高等音楽学院に留学中。
 小学1年生の時、当時教諭をしていた親せきからプレゼントされたのが一台のオルガンだった。それがきっかけとなり、三姉妹でピアノを習い始めることになったという新崎さんは「ピアノを弾くことがとにかく楽しくてしょうがない」という。
 小さいころは細かい練習が苦手で、レッスンに行きたくないと思う日もあったと言うが、「レッスンを休んだことは一度もない」とも。両親からはピアノを弾くことを強制されたことも全くないそうだ。
 小学校高学年になると、新たな先生との出会いがあった。それまでよりも難しい課題を与えられ、自分では頑張っているつもりでいてもなかなかうまく弾けない。どうすればよいのだろう、と日々考えていくうちに、10歳の少女はそれまで以上にピアノの世界へと引き付けられることになる。またそのころ、一緒にピアノを続けてきた姉が、高校受験で普通校の選択を決断したのだ。それが新崎さんの開邦高校の音楽コースへ行きたいという目標を明確にするきっかけともなった。
 目標が現実へと変わり、その後、県立芸大へ入学。海外で演奏家として活動してきた、あこがれの岩崎セツ子さんの師事を受けることになる。
 これまでにもさまざまなコンクールで賞を受賞している新崎さんだが、去年9月、音楽留学でフランスへ渡って約半年。フランスでの歴史ある第38回クロード・カーン・ピアノコンクールで1位を獲得、さらに課題曲G・フォーレの作品を演奏した最も優秀な演奏者に贈られるフォーレ作曲家特別賞も受賞した。
 3月25日には受賞者演奏会にも出演し、若手ピアニストとして注目を集めている。「ウチナーンチュが弾く西洋音楽。自己表現という視点から視野を広げて、フランスと沖縄、そして日本との懸け橋になれれば」と新崎さんは語った。
(与那嶺佐和子通信員)