【台風8号】マンゴー最盛期直撃 農産品被害、拡大に懸念


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ビニールハウスを巻き上げ、出荷直前のマンゴーの台風対策を取るマンゴー農家=7日、豊見城市

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 8日沖縄に接近する台風8号は、先島地方や沖縄本島南部のマンゴー出荷ピークと重なった。宮古島は6日から運送会社がマンゴーの受け付け制限を始め、下地敏彦宮古島市長は7日、航空会社に臨時便の増便を要請した。宮古島の農家は「このままでは数百万円単位の損失」と悲鳴を上げた。一方、沖縄本島はヘチマやオクラの露地野菜、サトウキビへの被害拡大にも懸念が出ている。八重山地方のパイナップルは収穫の繁忙期を迎え、台風襲来の影響に心配の声が上がった。

 県は2014年産県内マンゴーの生産量を平均値並みの1647トンと見込み、収穫ピーク期を7月中旬ごろと見ている。
 中でも平年の約5割増の生産量が見込まれる宮古地方は既に7月上旬からピークを迎え、今回の台風襲来と重なった。受精した実の肥大がよく、果実は大玉化が期待されているという。
 「マンゴーの里」豊見城市内でも最盛期を前に住民らが台風対策に追われた。同市と糸満市に約6千平方メートルのアップルマンゴー畑を持つ渡口亘さん(41)は、7日朝から台風対策に追われた。「台風前に収穫できるものは、早い段階で収穫する。あと1~2週間で出荷できるが、この台風を乗り切れるか」と不安そうに話した。台風対策について「風が弱くなることを願うだけだ」と話した。
 ゴーヤーとマンゴーを豊見城市内で栽培する農家は「(台風が)大き過ぎ、もう諦めている。自然には勝てない」と話した。
 一方、パイナップルの最盛期を迎えている八重山地域はJA関係者や農家らが懸念を強めている。ボゴールパインとピーチパインの出荷は落ち着き、現在は生産量が全体の4割を占めるハワイパイン種の収穫が本格化している。
 JAおきなわ八重山地区本部や農家によると、全体的に平年より出荷が遅れ、収穫が2割ほどしか進んでいない農家もあり、被害が大きくなる可能性がある。昨年も収穫期の7月に直撃した台風7号で、石垣島では2046万円(速報値)の被害が出た。
 JAおきなわ八重山地区営農振興センターの長堂勝吉さんは「カラス対策の防護ネットの取り付けを強くするなど対策は呼び掛けているが、露地でどうしても風を受ける。パインは収穫を早めるのも難しい。状況を見るしかない」などと話した。