【アメリカ】沖縄音楽の血、いつも誇りに ウクレレ奏者・ジェイク島袋さん(県系4世)


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ウクレレで独特な世界を表現し、観客を魅了するジェイク島袋さん=1月、米カリフォルニア州サンタモニカ市

 ウクレレといえばフラダンスの楽器、というイメージを見事に払しょくするパフォーマンスで、全米で人気が急上昇している沖縄系アーティストがいる。ホノルル出身の県系4世、ジェイク島袋さん(30)だ。1月から開始した全米ツアーで知名度が高まり、大都市での追加公演も決定。「シマブクロ」という名前が米大手新聞や雑誌の見出しを飾るなど、目覚ましい活躍ぶりを続けている。

 ウクレレ教師だった母の影響で4歳の時に演奏を始めたという島袋さんは、高校卒業時にホノルルでバンドを結成。ハワイのグラミー賞といわれるナ・ホク・ハノハノ・アワードを3年連続で受賞するなど、ハワイを拠点とする活動を展開していたが、独立を決意。2002年にソロデビュー後は、日本での活動に力を入れてきた。昨年のNHK紅白歌合戦で、夏川りみさんのバックで演奏していた彼の姿を覚えている人も多いだろう。
 日本での人気の高さとは対照的に、アメリカでの知名度は低かったものの、インターネット上で公開されたプロモーション・ビデオが「ハワイのジミー・ヘンドリックス」と若者たちの間で話題を集め、今年1月に開始した全米ツアーのチケットはすべて完売した。いずれも200人前後の小会場だったため、チケットを入手できなかったファンが各都市で続出し、次の公演の問い合わせなどが殺到したため、急きょ、6月に追加公演を行うことが決定した。
 「芸術は、表現する人間の魂を映し出す鏡」と話す島袋さんは、自然の恵みや命への感謝を表した曲を数多く制作。時には激しく、時には柔らかく、ウクレレ1本で、ジャズやロック、日本民謡をひとつの音色のもとに溶け込ませた独特の世界を表現しており、前例のない表現の特異性に、米メディアも「唯一無二のアーティスト」と高く評価している。
 ロサンゼルス近郊サンタモニカ市で1月に行われたライブでは、「僕のふるさとであるハワイと沖縄では、祖先から受け継いだものを誇りに思う気持ちが音楽を通して引き継がれている」と観客に語り掛ける姿もあった。
 大学のクラスメートたちと来たというジェシカ・ミラーさんは「印象に残ったのは、土砂降りの雨の中をずぶぬれになりながら新しい出発点に向けて歩くのをイメージして作ったという曲。演奏の素晴らしさはもちろん、『雨が降るとすべてが浄化され、新しい自分になれる』というメッセージに、自然との前向きなかかわり方を教えられ、心を打たれた」と話していた。
 (平安名純代通信員)