【アメリカ】沖縄移民テーマに講演 県系学者2人が研究紹介


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キューバの沖縄移民について語るウエスリー上運天さん=4月、北米沖縄県人会館

 カリフォルニア大学バークレー校の博士課程を修了するウエスリー上運天さんと、ハワイ大学社会学部のジョイス知念教授が4月20日、ガーデナ市の北米沖縄県人会会館で「沖縄移民」をテーマに講演した。北米沖縄県人会文化部(徳永愛子部長)の要請で実現した。
 ハワイ沖縄系3世の上運天さんは、キューバの沖縄移民について報告。アメリカからキューバへの渡航はメキシコを経て実現したことや、三線を奏で、琉球民謡を涙ながらに歌ったことなどを紹介した。キューバには、現在198人の沖縄県系人が住み、顔形はラテン系だが自分は日系でウチナーンチュだと誇らしげに語る若者が多いことなどを語った。
 世界のウチナーンチュ大会やジュニア・スタディーツアーへの参加が、ウチナーンチュ・アイデンティティーへの理解につながっているという。また、ハワイ、キューバ、沖縄が亜熱帯気候で、島しょという類似点があり、農業と観光が主な産業となっていることなどを、スライドを使って紹介した。
 知念教授は、2000年のハワイ移民100周年を記念し研究生15人と沖縄を訪れたこと、友愛のきずなとしてハワイの南風原町系人が南風原町にシーサーを作って贈ったことなどを紹介。大学では「沖縄ブームの地域的世界的伝搬」をテーマに「慰霊の日」や「ダイアスポーラ(人種の離散)」などを教えているという。
 社会問題として、南米からの「出稼ぎ労働者」の功罪にも触れ「次回はブラジルやアルゼンチンなどの南米移民について報告をしたい」と語った。
 上運天さんは現在カリフォルニア州バークレー市に在住、石垣市出身の牧子(旧姓宮城)さんとの間に2人の子供がある。知念教授はハワイ3世で、祖父は旧美里村出身。(当銘貞夫通信員)