女子プロ野球入団へ 宜野座出身・前田桜茄


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<女子プロ野球>東北レイア入団を決めて、「みんなをドキドキさせる選手になりたい」と決意を抱く前田桜茄=9日、宜野座村

 ひたむきに白球を追いかけ続けた少女がプロ選手としての第一歩を踏み出す。宜野座村出身の前田桜茄(はるか)=(18)が日本女子プロ野球リーグの東北レイアへの入団を決めた。

「みんなをドキドキさせるような選手になる」。大舞台で躍動する姿をイメージして、胸を高鳴らせた。
 強い向上心が成長の原動力になった。松田小学校3年で野球を始め、外野を任されるようになった。「うまくプレーできるようになるのが楽しかった」と技術の上達に喜びを覚えた。宜野座中学校でも野球を続けたが、周りは男子ばかり。「絶対に負けたくない。もっとうまくなる」と野球に打ち込んだ。実戦経験を重ねるため、高校は女子硬式野球部がある神村学園(鹿児島)に進んだ。
 高校1年の頃、左肩を負傷して練習ができない時期があった。「同級生が大会に出ているのを見て悔しかった」。復帰後はチームメートに負けない練習量でブランクをカバーした。「野球をやってきて一番成長できた」と実感している。
 50メートルを6秒69で駆け抜ける脚力と、ライナー性の難しい打球にも果敢に飛び込む積極的な守備が武器だ。高校入学時からプロ入りを意識していたが、150センチの身長で「通用するのか」と不安を抱くこともあった。それでも神村学園の橋本徳二監督に「プロ野球を変えてこい」と背中を押され、入団テストに挑んだ。「やるからには絶対に頑張ろう」と力を出し切り、合格を勝ち取った。
 東北レイアには多くの高卒ルーキーが所属する予定で、ともに体作りから始める。「みんな高校時代から知っている選手だ。成長して違いを見せたい」と誓う。目標はプロで結果を残すこと。そして、五輪に出ることだ。「オリンピックの競技に採用されるためにも、女子野球をもっと日本中に広めたい」。大きな希望を抱く前田の瞳は、きらきらと輝いていた。(平安太一)