円覚寺の詳細図公開 きょうから首里城で


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 沖縄戦で消失した円覚寺の9建造物の詳細な平面図を記した図面7枚が、17日から首里城公園内で一般公開される。戦前、戦後と守礼門の修理や復元などに尽力した森政三(まさぞう)氏(1895~1981)のコレクションの中に所蔵されており、2013年までに確認された。

 これまで円覚寺については田辺泰著「琉球建築」に寺域全体の平面図しかなかった。今回公開される図面は、寸法まで細かく記載されており、発掘調査や写真資料と照合することでより正確な復元が可能となる。県は円覚寺三門(山門)の復元を目指しており、2014年度に県教育委員会が行った三門復元の基本設計に反映させた。
 図面はいずれも縦約53センチ、横約77センチ。三門のほか総門、方丈、方丈橋、鐘楼、仏殿、開山堂、左脇門、右脇門が描かれている。沖縄美ら島財団総合研究センターの上江洲安亨学芸員は「図面は森が来沖した1936年以前に作製されたと思われる。発掘調査や写真と一致していることから、国宝に指定された33年前後に作製されたのではないか」と推測。「三門以外の復元事業が立ち上がった場合も重要な資料になる」と強調した。
 県の三門復元は、実施設計に向けて関係機関との調整が行われており、完成年度は確定していない。
 首里城公園有料区域内、南殿・黄金御殿での企画展「守れ! 琉球の宝」は6月30日まで。三門の図面以外は入れ替え展示する。問い合わせは(電話)098(886)2020。

三門復元事業が進んでいる円覚寺。三門は左の石段の上。右側は1968年に復元された総門、方丈橋、方丈池=16日、那覇市
首里城公園内で一般公開される円覚寺の平面図のうち三門。下が「一層」(1階)、上が「二層」