被災地との絆 開花 渡嘉敷「ニゲラ」可憐に


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<開花>ニゲラの花と、庭園を手入れする新垣光枝さん=9日、渡嘉敷村の根本船頭屋敷

 【渡嘉敷】渡嘉敷村の村指定有形文化財「根元船頭屋敷」庭園で昨年5月、住民の新垣光枝さん(67)が発見した花「ニゲラ」(キンボウゲ科、南ヨーロッパ原産)が、ことしも紫色の可憐(かれん)な花を咲かせた。

種まきして育った3本も初開花し、苗も数十本に繁殖した。
 同園の花植え、手入れ、水やりなどをボランティアで行っている新垣さんが、専門家に依頼し確認したところ「ニゲラ」と判明したもので、渡嘉敷村では昨年、初確認となった。
 島内では同園にしかない珍しい植物で、花は直径3センチ~5センチ、花は糸状の苞片(ほうへん)に包まれているのが特徴。花が咲いた後は果実から黒い種が出てくることから、別名「クロタネソウ」。日本には江戸時代に入ってきたものとされ、ラテン語の「ニガー(黒い)」に由来している。主な開花期は4~6月。
 東日本大震災の被災地、宮城県気仙沼市の幼稚園との交流が縁で、同市から送られたヒマワリ、コスモスの種にニゲラの種が交ざったものと分かり、新垣さんは、被災地との絆が生んだ花だとして大事に育てている。
 新垣さんは「このニゲラを増やし、東北の震災地の一日も早い復興を願いたい」と思いを託した。
(米田英明通信員)