ウミガメの産卵手助け 山内さん、古波蔵さん地域で活動


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<ウミガメの産卵>足跡からことし1匹目のウミガメの大きさを計る山内輝信さん(右)と古波蔵英雄さん=5月22日、恩納村仲泊の海岸

 【恩納】恩納村仲泊の海岸で5月22日早朝、ウミガメの産卵跡が確認された。幅約1メートルのウミガメ1匹が卵を産むために浜に上がってきた「足跡」が岸辺から延びる。順調にいけば、約100個の卵が60日後の7月20日前後にふ化する予定だ。

 27日には2匹目の産卵跡も確認された。仲泊地区では毎年訪れる“お客さん”のウミガメを出迎えるべく、地域の有志が産卵やふ化を助けようと長年浜辺の清掃などを続けている。
 ウミガメの産卵場所は囲いで守られ「ウミガメの産卵場所 ふまないでください」と書かれた看板が立っている。立てたのは山内輝信さん(77)=同村仲泊=と古波蔵英雄さん(78)=同=だ。山内さんは地域の学校でウミガメについての講話を行っており「ウミガメ博士」の愛称で知られている。
 毎年5~9月の産卵時期前後になると、ウミガメの産卵場所を確保するため、約900メートルの浜に生えた雑草を週2回ほどボランティアで除去している。
 ウミガメの卵は満潮時の波で沈まないよう、波打ち際からある程度離れた砂地に産卵する必要がある。
 しかし現在の仲泊海岸は整備が不十分で、浜に雑草が生い茂り、岸辺から砂地まで十分な距離がない。
 山内さんは約20年間、古波蔵さんは約6年間、雑草除去を続けている。一日で約15センチも伸びるというツルとも、格闘の日々だ。
 仲泊の海岸では2013年は19匹、14年は9匹の産卵跡が確認された。山内さんは「昨年は4月に産卵の跡があったので、ことしは少し遅いかな」と説明し、「ここは自分の庭みたいなもの。小さいときからウミガメを見ていた」と思い出を語る。
 古波蔵さんは「ウミガメができるだけ卵を産みやすい環境をつくってあげたい。子どもたちがさまざまな生き物に触れる機会があれば、命のありがたさを学べて、さらにウミガメ保護にもつながる」と話した。