【南風原】沖縄戦当時、南風原町喜屋武にあった沖縄陸軍病院と炊事場の間を、砲撃を避けながらひめゆり学徒らが食糧を運んだ「飯上げ」を追体験する企画が23日、南風原文化センターを拠点に行われた。
21回目となる南風原町子ども平和学習交流事業の一環で、同事業に参加する町内四つの小学校から6年生23人が参加した。
南風原平和ガイドの会のメンバーが、玄米から五分づきのお米に、芋と芋の葉を一緒に煮たご飯を炊き、当時の食事を再現した。子どもたちは2人一組でご飯の入った樽(たる)約9キロを棒に下げて飯上げの道200メートル余を歩いて運んだ。
体験に先立ち平和ガイドの大城律子さん(59)は、喜屋武集落にあった炊事場跡を案内し「炊事場からの煙が攻撃の対象になり危険だった。雨と砲弾の中、学徒隊や看護婦、衛生班らが患者のための食事を運ぶのは命懸けだった」と説明した。
南風原文化センターに隣接する「飯上げの道」は黄金森に続いており、一人しか通れないような傾斜のある山道を、子どもたちは互いにバランスを取りながら運んだ。
金城優梨(ゆうり)さん(12)=津嘉山小6年=は「9キロがとても重く感じた。当時の人たちは、爆弾が落ちる中もっと大変だったと思う。苦労が分かった」と話していた。
昨年までは親子を対象に飯上げ体験を募集して行っていたが、ことしは町子ども平和学習交流事業の参加者に限定して行われた。子どもたちは8、9月に県外や離島での平和学習を予定している。