MESH、医療用小型機が初試行 伊江島に代診医派遣


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 【伊江】民間救急ヘリを運航するNPO法人MESHサポート(小濱正博理事長)が、クラウドファンディングを実施して購入した医療用小型飛行機を使用し、代診医を派遣する試行運用が7日、伊江村で行われた。

久米島から医療用小型飛行機に搭乗して伊江村に到着した深谷幸雄院長(右)=7日午前9時半すぎ、伊江島空港

 クラウドファンディングは、インターネットを活用して趣旨に賛同した個人や団体から財源の提供や協力などを受ける方法。同法人は小型機の導入を目指し、ことし3月から取り組みを開始。6月1日までに飛行機購入費用の3500万円を超える支援が集まった。

 同機は離島の急患搬送をはじめ、代診医や専門医の派遣、本島内の病院で治療を終え、容体が安定した患者を地元の病院へ移す「下り搬送」などを行う。

 現在使用するヘリの活動範囲は半径50キロだが、飛行機では600キロに拡大し、奄美群島や先島諸島まで範囲が広がる。

 初めての試行運用に沖縄地域医療支援センターを介して、伊江村立診療所の代診医として公立久米島病院の深谷幸雄院長が搭乗した。

 午前9時すぎに久米島空港を離陸し、伊江島空港までの飛行時間は約30分。深谷院長は「とても快適なフライトだった。那覇から車や船を乗り継いで移動だけで半日を要していたが、同機はわずか30分で移動でき、利便性や負担軽減が図られ、現地での診療時間も大幅に延びる」と語った。深谷院長は到着後、村立診療所に向かい、10時すぎから患者の診察に当たった。

 同法人で運航セクションリーダーの藤田原野さんは「医療支援のニーズが広がり、離島医療の拡充が期待できる。試行運用を通して来年の本格運用を目指したい」と話し、今後は週1回のペースで代診医の派遣を実施する予定。

 同機は操縦士、医師、看護師、患者を合わせて4人乗り。伊江村と同法人は8月に同機の運航に係る相互協力と連携に係る協定を締結。伊江島空港の敷地内に同機専用の格納庫を整備し、伊江島を拠点とした航空医療の活動が展開される。
(金城幸人通信員)

代診医として患者を診察する深谷幸雄院長=伊江村立診療所