【ハワイ】「平和の重み」考えて ハワイ沖縄フェス


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第25回ハワイ沖縄フェスティバルの展示会「沖縄戦の歴史」=8月末、ホノルル市のカピオラニ公園

 ハワイ州ホノルル市のカピオラニ公園で8月30日から3日間にわたって開催された第25回ハワイ沖縄フェスティバル(主催、ハワイ沖縄連合会)で展示会「沖縄戦の歴史」が開催された。沖縄の古典芸能が華やかに集う会場の一隅で数多くの来場者らが足を止め、写真を通じて平和とは何かを考えた。

 同展を企画したのは、ホノルル市在住の玉城シェリーさん(34)。「戦争の悲しみを体験したからこそ平和の重みが分かる。沖縄の歴史を知り、真の平和を考えてほしい」と開催を決めた。
 米軍が撮影した終戦直後の焼け野原となった沖縄の模様など写真約40点、ひめゆり部隊やハワイ2世通訳兵などの年表と資料、メッセージが展示され、沖縄の過去と現在を浮き彫りにした。
 会場には、沖縄戦で従軍した元米兵らやハワイ在住の県系人ら多数が訪れ、熱心に見入っていた。中には腕を組んだまま写真の前から動かない人や、涙を浮かべじっと見入る米国人の若者の姿もあった。
 イラクから帰国したばかりのエリック・ジョンソンさん(31)=ジョージア州在住=は、「自分の国を守るために戦地へ赴いたが、今は迷いでいっぱい。僕の戦後は今始まったばかり。展示されている写真のなかに自分の姿が重なり、正視できなかった」と語った。
 アナンダ・シーガルさん(39)=カリフォルニア州在住=は、「写真を見て、祖父が自分が体験した沖縄戦の話をしないのはまだ痛みがあるからだと感じた」。空手を習い始めたばかりというマーク・カミルさん(19)=ニューヨーク州在住=は、「戦争の悲しみを乗り越えるために、沖縄の伝統芸能が発展したのだと思う」と感想を語った。
 来場者から多くの質問を受けた玉城さんは「祭りという性質上、一時は展示を考慮するべきかとも考えたが、大勢の人が足を運ぶチャンスを見逃したくなかった。沖縄という小さな島で戦争があったという事実を提示し、見ている人それぞれに戦争と平和を考えてほしかった」と語っていた。
 (平安名純代通信員)