【ロサンゼルス】メール結婚詐欺に注意 安富さん、文章教室で実話紹介


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
「飯沼信子の文章教室」で貴重な体験を語った安富康夫さんと作家の飯沼信子さん

 電子メールによる国際的な結婚詐欺事件があり、被害女性の救済に関与した県系2世で南カリフォルニア在住の実業家・安富康夫さん(金武町出身)が「安易なメル友との結婚詐欺などに引っかからないように」と注意を促している。

 安富さんは、昨年初め、駐英日本大使館職員から電話で約20万円の借用要請を受けた。使途は同大使館で保護された日本女性の帰国経費で、安富さんは女性との面識はまったくなかった。だが、女性の身内に20万円を英国に送金できる人がいないとのことで、安富さんの友人から「安富さんなら必ず助けてくれる」と紹介されたという。
 安富さんは「大使館の責務の1つは同胞の生命と財産保護。大使館の経費で帰国させるべきだ」と主張したが、大使館職員は「あくまでも自己責任で帰国すべきだ」と譲らなかった。
 安富さんは「私は日系人だが米国籍を持つ身。日本の外務省が外国人から金を借り同胞を帰国させるようなことはすべきではない」と拒否した。
 だが安富さんは、被害女性が友人という人物に打診し、英国で事件に巻き込まれ無一文になっている事実を確認した。
 友人の話では、彼女は「出会いサイト」で知り合った英国の男性と1年間メールを交換後、結婚を約束。新築のマイホーム資金として前金を送金した。いよいよ話がまとまり渡英、ロンドンの空港で「婚約者」と面会した。しばらくして英国男性はその場から荷物とともにこつぜんと姿を消した。ようやく彼女は、結婚詐欺に遭い、すべてを失ったことに気付いた。
 事実を確認した安富さんは、大使館職員と女性に電話で「借金の返済契約書のFAX送信」を要請し、後日、20万円を送金した。送金から2日後に女性は無事帰国。2カ月後にお金は礼状と一緒に返金された。
 安富さんは、作家の飯沼信子さんが昨年、ロサンゼルスで開催した文章教室で実話を紹介し「電子メール結婚詐欺」への注意を喚起した。
(当銘貞夫通信員)