【キラリ大地で】アメリカ/亀谷学さん(那覇市出身) ハリウッドで新境地


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ハリウッドで活躍する亀谷さん

 ハリウッドで、米市場に日本映画やアニメの売り込みで活躍しているのが亀谷学さん(30)=那覇市出身=だ。
 ハリウッドでは、ヒットした邦画のリメークや日本人の役者も活躍するようになった。
 亀谷さんは「ジョン・レノンが世界に平和を伝えるのに成功したのは、歌をレコードに託したから。もし彼がライブハウスだけで演奏していたら、ここまで多くの人に伝えられただろうか。何か一つのメッセージを伝える場合、どの手法を取るかは非常に大事だ」と語る。
 那覇高校時代は空手部のキャプテンとしてインターハイに出場。同校の推薦枠を利用して進学した慶応義塾大学では、英語演劇サークルに所属し、役者として学生時代を謳歌(おうか)した。
 モノを作り上げる喜びに身を浸しながら3年目には主役に抜てき。人種も言葉も文化も違う外国人を演じる過程で、「人間って平等なんだということを確認した」と話す。
 卒業後は、映画製作・配給、海外テレビ映画の輸入配給やCM製作などを行う東北新社に就職。配給部でテレビ番組を専門に扱った。「好きな映画やテレビに触れられる楽しさはあったが、やはり自分はハリウッドで映画を学びたい」と、退社を決意した。
 沖縄に戻り、1年半、学習塾でアルバイトをしながら受験勉強し、カリフォルニア州ロサンゼルス近郊のチャップマン大学映画学部プロデュース学科に見事合格した。
 猛勉強に追われる毎日で、脚本の書き方から撮影方法、大手スタジオとの交渉方法など、映画に関する総体的な知識を習得し、在学中に共同プロデュースした短編映画がロサンゼルス国際短編映画祭で上映された。
 卒業後、昨年6月に東北新社米国オフィスへ入社。現在は、営業と並行して、同社に新設された共同制作部門でオリジナル企画を提案できるようハリウッドで新境地の開拓に挑んでいる。
 「ハリウッドが日本と大きく違う点は、作り手主導ではなく、客が面白いと思う商品を企画開発するという発想に基づいていること。共同制作では、『ロスト・イン・トランスレーション』など大ヒットした例はまだ少ないが、新しい分野だけにやりがいは十分」と語る。
 将来の夢は、多くの人に見てもらえる映画を自分でプロデュースすること。長い間温めてきた夢がアメリカで具体化しつつあるのを感じながら、沖縄のために自分に何ができるだろうかと思いをはせる。
 「外に飛び出してみて初めて沖縄の素晴らしさがわかった。沖縄人、ナイチャー(内地の人)、外国人、国籍は一切関係ない。沖縄のことを思う人が沖縄にかかわっていけばそれでいい」。老後は沖縄で映画を作りたいという
 (平安名純代ロサンゼルス通信員)