【アメリカ】移民100年、草の根交流 北米初のキューバ訪問


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 昨年10月に開催された「沖縄キューバ移民100年記念祭」に北米から参加した親善団「国境なしチョウデー」が2月16日、派遣への応援に感謝し、北米沖縄県人会のヤマウチ・ビルで報告会を開いた。キューバ訪問親善団は、那覇出身でワシントンDC在住の賀数章子さんが発起人となり全米に呼び掛け、ロサンゼルス周辺から若者6人が参加した。

 キューバ訪問団は北米沖縄系では初めてで、キューバ在住のウチナーンチュとの交流を深めた。2人のメキシコ系アメリカ人のエヴァ・パディアさんとベロニカ・キャルデロンさん=共に北米県人会会員、ウチナーンチュの血は引いていない=も親善団に加わった。
 報告会では、県人会オフィス・マネジャーの山内優子さんの司会で参加者の体験談発表があり、キューバの離島イスラ・デ・フベンタード(青年の島)が、日系移民にとって重要な意味を持つことなどが強調された。
 ケン徳永さん(29)は、「キューバではキューバン・ドルとキューバン・ペソの2つの通貨が使用され、官僚や金持ちはドルを使用している。ドルはペソの10倍以上の価値で通用していた。物珍しさも手伝ってビルの中を見物したいと接近すると必ず警察かセキュリティーに止められた」と、現地の様子を報告した。
 レスリー知念さんは「ロスなど北米各地から寄せられた基金で、沖縄の親善団がエイサー衣装を購入し、キューバまで持ってきてくれた。北米県人会副会長ペドロ・アゲナさんは三線を寄贈し、ウチナーンチュのチムグクルに触れた」などと報告した。ビデオ上映もあり、60人の観客は興味深く聞き入った。
 賀数章子さんは、キューバと深いかかわりを持つ富山健太さんやキューバ沖縄県人会会長のアントニオ・ヨヘナさん、キューバ100年祭の立ち上げとサポートを担った大城悟さん=メキシコ観光社長、メキシコ在住=との出会いを紹介した。
 その上で「今回の100年祭は草の根運動的なクーバンチュと世界に散らばったウチナーンチュのユイマールで実現した。心温まる100周年だった。米国とキューバの複雑な関係の背景の中で翻弄(ほんろう)されるウチナー・キューバ人が両側にいることも知ってほしかった。交流は今後も継続していきたい」と語った。
(当銘貞夫通信員)