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特定外来生物「オオキンケイギク」に注意 駆除根気よく 地方自治体に防除義務なし 住民に対応呼びかけ(愛媛新聞提供~JODパートナー社から~)


特定外来生物「オオキンケイギク」に注意 駆除根気よく 地方自治体に防除義務なし 住民に対応呼びかけ(愛媛新聞提供~JODパートナー社から~) オオキンケイギクが花盛りとなっていた五色姫海浜公園近くの海岸=5月下旬、愛媛県伊予市尾崎
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 特定外来生物に指定されているオオキンケイギクの群生する愛媛県内の海岸が、花畑として個人ブログで紹介されているとの情報が愛媛新聞「真相追求 みんなの特報班」(通称・みん特)に寄せられた。河川敷など身近な場所で5~7月、黄色でコスモスのような形状の花を咲かせる。見た目は美しいが在来種に影響を与えるため、栽培や譲渡、運搬が法律で禁止されており、注意が必要だ。(杉本賢司)


 ブログで「きれいな花畑」と紹介されていたのは伊予市の五色姫海浜公園近くの海岸。足を運ぶと、普段は植生もまばらな場所が一面、黄色に染まっていた。美しさに思わず見とれる一方、特定外来生物と考えると違和感も覚える。盛りを過ぎた6月以降は花がまばらになり、しおれたようになった。

 オオキンケイギクはかつて国内で道路ののり面緑化などに使われてきたが、繁殖力が強く在来種を駆逐するとして2006年に特定外来生物に指定された。県生物多様性センターによると、刈り取りでは根本的な解決にならず、開花直後の種子を作っていない時期に抜き取るのが効果的。種子は土の中で何年も生き残っているため、根気よく駆除を継続する必要がある。

 啓発に取り組む環境省九州地方環境事務所のホームページ(HP)によると、花の直径は5~7センチで先が不規則に分かれ、葉は柄が短くて対になっているのが特徴。駆除の際には種子や根が落ちないよう袋に密閉するといった対策が必要で、生きたまま処分場に運ぶ際は事前に駆除する場所や日時を公表しなければならない。法律に違反すると最大で300万円の罰金(法人の場合は1億円)、3年以下の懲役といった罰則がある。

 法律では地方自治体に防除の義務はない。繁殖が広範囲で駆除には多額の費用や手間がかかることなどから、実害がない限りは対応が難しいのが現状だ。環境省や自治体では、HPなどで住民やボランティアによる駆除を呼びかけている。

 実際に防除に取り組んでいる事例もある。国土交通省松山河川国道事務所では重信川の堤防に植えている芝生を侵食する恐れがあるため、毎年種子を付ける前に刈り取っている。ほかの雑草の駆除とは別の作業が必要となり、年間約300万円の余分な予算が必要となる。河川管理課の吉村匡課長は「根から抜き取って処分した方がいいが、手間やコスト面で難しい。刈り取りを続けて弱体化させることで、地道に駆除していくしかない」と話す。

 植物に詳しい松井宏光・松山東雲短期大名誉教授は「1960年代に県内に入ってきて以降、かなりの期間が経過しているが、花粉を飛ばさないため人的被害はなく、農産物などへの被害も確認されていない。とはいえ今後、生育の拡大で被害を及ぼす恐れもあるため、広がらないよう監視する必要がある」と警鐘を鳴らした。

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