やりたいことが見つからない、は「当然!」SNSで〝文才のすごいギャル〟として人気の「きらめく星のなったん」が故郷・沖縄で語ったこと

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インスタグラムで約20万人、ツイッターで約10万人のフォロワー(読者)をもつ東京在住の「きらめく星のなったん」さん(本名、年齢は非公開)。実は沖縄県の中部出身。7月に発行した初のエッセー集「待ち人来ずってなんなの 私から会いに行くから お前が待ってろよ」(KADOKAWA)はすでに3刷目。SNSでは、恋愛相談や人間関係など多くの質問を投げかけられるが、率直ながらユーモアたっぷりの返しで「かっこいい」「面白い」と評判を呼んでいる。9月、沖縄に帰郷したタイミングでお話を伺うことができました。約1時間に渡り、SNSや本が世間の反響を呼んでいることへの自己分析や沖縄への思いなどについて伺ったほか、〝オールドメディア〟とも言われる「新聞」が若者に受け入れられるには?など新聞記者としての悩みも思い切ってぶつけてみました。新聞紙面には載せきれなかったロングバージョンでお届けします。

(文化部記者・宮城久緒)


9月、沖縄県の豊見城市瀬長島にて(本人提供)

「待ち人来ずってなんなの 私から会いに行くから お前が待ってろよ」(KADOKAWA)

Q:おっさんですいません。
いえいえ。本も用意してもらいありがたいです。

Q:本の反響は。
3刷り目です。各媒体から声を掛けてもらっています。ネットではコラムの連載をしています。10月から雑誌にも掲載されます。


(本人提供)

Q:そもそも発信活動のスタートは?
中学生でブログを始めました。特に何か書きたいものがあった訳ではなく、周りと同じように始めただけです。

Q:「文才のすごいギャル」と評されることも。
フォロワーはインスタが20万人、ツイッターは10万人ぐらい。3年くらい前から始めました。文才もないし、ギャルでもないんですけど。ただ作文を書くのは好きで得意でした。市の大会で賞を取ったこともあるんです。

Q:沖縄には何歳の時まで。
高校生まで。その後、ノープランで上京してアルバイトを転々としていました。したいことを探しに東京に行ったんですが見つからなくて。そろそろ職につかないと、と思い、医療事務の仕事を始めました。

Q:なぜ医療事務を。
家から近かったので。ラーメン屋が近かったらラーメン屋を受けていたと思います。性格は「うちなータイム」なので朝はゆっくりしたいと思い近くにしました。

Q:お話していると、イントネーションはうちなんちゅーだなぁと感じます。沖縄出身とは書いていますが、本では特に沖縄については書かれていない。
今回の本はテーマが別だったので。2作目、3作目は沖縄のことを書けたらと思っています。沖縄でどう過ごしたか、沖縄に生まれ育ったからこそ持っている感性とか。

Q:沖縄出身ということへの反応はありますか。
ファンは沖縄の方も多いです。あと地元の方からは地元の希望だよ、って言われました(笑)。


9月、沖縄県の豊見城市瀬長島にて(本人提供)

Q:作文が好きになったきっかけは。
書くのはもともと好きで幼少期からお母さんやおじいちゃん、おばあちゃんに手紙とかよく書いていました。夏休みの宿題は最後の方にやるタイプでしたが、作文だけは苦ではなく楽しかったです。

Q:作文のどこに魅力を。
頭の中でごちゃごちゃしていることをまとめて出せますよね。自分でも理解していないことを文章でまとめるとすっきりする。

Q:考え方が前向きですよね。学びや勉強への意欲もある。
はい(笑)



Q:著書では、勉強をする理由について『大切な人とぶつかったとき、名前のない感情や気持ちを適切に伝える言葉を知っていたら… と後悔する日が必ずくる』と書いています。
中学3年の担任に言われました。人生の中でその先生の影響は大きい。

Q:本への家族の反応は。
喜んでいました。話すのがあまり得意ではないので普段何を考えているのか分からなかったけど、本を通してこういう風に物事を捉えているのか、とか分かったと言われて。本を通してちゃんと会話ができたというか。

Q:沖縄にはよく帰ってきますか。
おばあちゃんやお母さんに会いたくて。年に2回ぐらい戻ります。オンシーズン以外、飛行機代が安い時に(笑)

Q:沖縄はどういう地域だと思いますか。
あたたかいですね。人も好きです。定期的に帰りたくなる場所です。

Q:嫌だから出た、という訳ではないんですね。
全然、そうではありません。カレーしか食べたことない人はカレーのおいしさを理解できないですよね。沖縄はいいところだと言われますが、何がいいところで好きなのか説明できないのも嫌だったので。内地で住んであらためて沖縄の良さに気付ました。

Q : 沖縄の良さとは。
みんな家族みたいな感じ。よそはよそ。うちはうちではない。東京は逆でよそはよそ。うちはうち(笑)。悪く聞こえる人もいるかもしれませんが沖縄にいると欲がなくなる。東京にいるとお金稼がなきゃなとか、こうしたい、ああしたいって出てきて。それで頑張れますが。沖縄帰ったら家族がいるし、おいしいご飯もあるし、海もあるし、もう何もなくていいや、と。心が疲れた時はすぐ帰りたくなります。



Q:人気の理由をどう自己分析しますか。
自分で言うのは恥ずかしいですが私結構、自分で思ったことを伝えられるんですよ。今は思っていても伝えられない人が多いからなのかな、と周りを見て思いました。

Q:SNSの返し、面白いですよね。
ユーモアがあるって言われます。ぱっと思い浮かんで書く感じですが。

Q:反響の大きさは励みになりますか。
驚きました。私の中では当たり前のことを言っているだけなのに、こんなに反応があるということは、今って生きづらい世の中なのかな、とか。私が普通にしていることに対して『どうしたらそういう風にできるんですか』『どうしたらはっきり言えるようになるんですか』『どうしたら自信を持てるようになれるんですか』。私が普通にしていることに対して、そういう風に人が集まってくるんです。みんなもっと自由に生きたらいいのにと心配にもなりましたが(笑)。

Q:「本をたくさん読んで」というメッセージを繰り返していますね。
本を読むのは小さい頃から好きでした。さくらももこさんが好きで読んでいます。小さい頃、母親が読み聞かせをしてくれていました。ジャンルは何でも。今読んでいるのはお笑い芸人の西野亮廣さん(キングコング)の『革命のファンファーレ 現代のお金と広告』です。読みやすい。

Q:読書をする理由は。
言葉を知らないことはすごく損だと思います。大人になれば知らなかったでは済まない。無知は罪という言葉があるように言葉を知らなくて、相手を傷付けることもあるし、自分が傷付くこともあるし。



Q:本にも書いていますが学生時代に不登校の経験があると。読者からも悩み相談があるようですね。
正解だと思っている訳ではないのですが私は集団行動、集団活動、人に合わせることが苦手でした。協調性がなくて自分を殺さなければ人に合わせられない、周りに合わせることができなかった。たぶん自我が強かったんだと思います。いろいろな人間がいると思いますが私は人の顔色をうかがってまで、無理してまで一緒にいる必要はないと思います。自分を出すのが苦手で人に合わせるのが楽という人は全然それでいい。私は学校の教室内で学習するより図書館で一人で勉強する方がはかどるタイプでした。

Q:友だちは多い方がいいとも思いがちですが。
私は、量よりも質だと思います。大人になったから言えるのかもしれないけど、無駄な縁を切ることもすごく大切だなと思います。その判断基準は「不快」に感じたら、でいい。つまらないことで悩む人間関係はいらない。自分の人生は自分が主人公だから。

Q:考え方は母親の影響が強いですか。
はい。母親だったり。過去の自分から学んだり。

Q:SNSでは悩み相談にこまめに答えていますね。 
今、結構多いので全てに答えられていませんが。聞かれたら何も考えず答えています。

Q:沖縄に居たころ「琉球新報」は読んでいましたか。
子供の時は読んでいました。今はネットニュースですね。WEBの『琉球新報Style』は読んでいますよ。

Q:今、若い世代に新聞や紙の本が読まれなくなったと言われます。
ウェブニュースは知りたいニュースをすぐ見つけられますね。メリットだとは思いますが、新聞や本屋は欲しい情報を探す中で、出会うはずがなかった情報にも出会うじゃないですか。目当て以外のものを知ることができるのは新聞や本屋のいいところだと思います。そこは大事にしたい。



Q:SNSでの相談への返答から多くの人がパワーをもらっているので・・・ちょっと、僕からもいくつか相談してもいいですか・・・。
私で良ければ。

Q:琉球新報が若い世代に読まれるにはどうしたらいいでしょうか。
本を書いて思ったんですが、今の若い世代は活字に触れる機会が少ない。今回、本を出すにあたって意識したのは、活字が少ないページデザインにしたり写真のページを作ったりしたこと。読者の方からは『人生で初めて本を丸一冊読むことができました』という感想がありました。新聞も、読みやすいように写真を多くしたり、最近の若い子の流行に注目して文字を大きくしたりする等、デザインを工夫してもいいと思います。私も本では強調したいところにマーカーするなど工夫しました。

Q:『初めて本を丸一冊読むことができた』という感想はうれしいですね。
うれしいです。感想には『本を読むって楽しいんですね。もっと難しくて遠いものだと思っていたから。この本読めたのでまた本屋に行って違う本にチャレンジしてみようかなと思いました』というのもありました。でも私が思う以上に、活字離れって深刻だなって思いました。

Q:「活字離れ」と言いますが、若い世代もSNSで字には触れています。ただ、文章の理解力が低下しているとも言われますね。
SNSって短文ですよね。新聞だと見出しだけというか。あと難しい言葉を使っていない。文章が長くなる時に間に写真があると触れやすくなりますよね。



Q:琉球新報っぽい質問をしていいですか・・・、基地ですが・・・。
はいはい。

Q:名護市辺野古への基地建設の問題など、沖縄の基地問題を解決するにはどうしたらいいと思いますか。
基地を造らせたくない人も、なければいけないと言う人もどちらも平和は願っていますよね。平和を願う点では同じなのに、思考が分かれる。それぞれが正義だと思っていますよね。正義の反対は悪だと決めつけて対抗するのではなく、正義の反対にはまた別の正義があるということを知って。一つにはなれなくても双方認め合い歩み寄ることができればいいと思います。難しい問題でこれだ、となかなか言えませんが。

Q:基地問題にも関心を持っているんですね。
ニュースも見ますし。地元のことなので。パルコやセブンイレブンができたんだ、と沖縄のことは関心ありますよ。

Q:沖縄では、子供の貧困も課題です。どう捉えていますか。
貧困問題の解決策は教育しかないと思います。貧困の家庭で生まれてお金がないから進学ができない。また貧困が貧困を生んで勉強ができなくて職業も限られてしまう。負の連鎖を解消するのは教育だと思います。貧困の環境下に生まれたからこそ、勉強は絶対にした方がいい。



Q:琉球新報が今年5月に取り上げたユーチューバー「少年革命家 ゆたぼん」が賛否両論、反響を呼びました。不登校という意味では共通しているところもあると思いますがどう受け止めていますか。
記事見ました。私にも彼への質問は届いています。私も学校に行っていない時期があったことに触れて、彼をどう考えるかと。

Q:どう答えていますか。
学校には行っていないということですが、社会的な活動はしていますよね。社会から学ぶことはすごくいいと思います。何もしていない訳ではない。ちょっと社会がよその家に干渉しすぎかなと思いました。ただ、批判ではないのですが、もったいないと感じる部分はあります。勉強なんかしなくていい、ということに関しては違うなと。勉強はした方がいい。国語、算数、理科、社会ではなくても、何でもいいので。



Q:いじめられている子にメッセージはありますか。
いじめをしている方が100%悪いので、自分を責めなくていい。なんでいじめられている被害者側が学校に行けなくなるんですかね。加害者側が来なくなればいいと思いますけど。学校に行けない子たちのために別の学ぶ場所をつくってあげたい。大人全体で。そういう環境が作れたらと思いますね。

Q:将来何をしたらいいか分からない、という人にはどうアドバイスしますか。
当たり前だと。やりたいことが明確に見つかっている人なんて奇跡な訳で。みんなやりたいことを探しながらやるべきことをこなしているのであって。やりたいことが見つからないうちは、いろいろしながら得意、不得意に気付いて選別していければいいと思います。



(本人提供)

~ プロフィル ~
きらめく星のなったん

インスタグラムやツイッターに投稿する自撮り写真と添えられたコメントが話題になった。インパクトのあるコメントで連日フォロワーが増えている。沖縄県中部出身。本名と年齢は非公開。
Twitter:@natsu0504t
Instagram: nattan0504




<インタビュー後記>

「おっさんですいません」で始まった約1時間のインタビュー。ネットで人気と知り、自分から取材に名乗りを上げました。ですが、事前に著書を読むとどっと不安が・・・。恋愛偏差値が低すぎるこのおっさんが、恋愛相談に切れ味鋭く答え続けている女性に何を聞いていいんだか。でも、いろいろな人に会って話を聞くことができるのが記者の醍醐味。ワクワクとドキドキでインタビューに臨みました。予想通り、いや想像以上に「なったん」さんの率直さ、誠実さ、頭の回転の速さを感じました。充実した時間を皆さんにシェアしたいといざキーボードに向かうと・・・、やっぱり新聞記事的な堅い表現になってしまったのでは・・・と少し反省。読者の皆さま、「なったん」さんの本やSNSはもっと面白いです。「なったん」さんのメッセージはおっさんが読んでも、なるほどな、と納得できたり、歯切れが良くてかっこいいな、と思えたり、元気づけられたり。言葉や文章の持つパワーをあらためて確認できます。初の書き下ろしエッセー「待ち人来ずってなんなの 私から会いに行くから お前が待ってろよ」(KADOKAWA)は沖縄県内の書店でも(もちろん県外でも)売っていますのでぜひ、読んでみてください。僕も人の心を動かすような文章を書きたいなと思いながら。



~聞き手~
宮城 久緒(みやぎ・ひさお)

1972年生まれ。
1996年琉球新報社に入社。文化部部付部長。写真部、社会部、運動部、政治部、北部報道部、東京報道部、デジタル編集担当などを経て8月から文化部。
 



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