「じぶん働き方改革」のススメ 【持続可能な働き方を求めて@沖縄】


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「働き方改革@沖縄」は「持続可能な働き方を求めて@沖縄」にタイトルを一新しました!
AIの発達や人口減少などの従来の変化の波に加え、新型コロナウイルス感染拡大など、地球規模の出来事が一人一人の「働き方」にも大きな影響を与えています。
激変する環境の中で、企業も労働者も「持続可能(サステナブル)」な働き方を実現するためには―。沖縄の経営者、労働者、学生たちと日々向き合っている専門家3人がリレー形式で「働く」をめぐる課題と解決へのヒントをお届けします。執筆者は変わりません。

みなさん、こんにちは。
組織コンサルタントの波上こずみです。

新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない中、2020年8月現在、沖縄県独自の緊急事態宣言が発表され、私たちの生活に大きな影響が出ています。
ビジネスにおいても、テレワーク、時差出勤や交代出勤、オンライン会議の実施といった環境の変化が進み、働く場所や時間に縛られない働き方が広がっています。

一方で、この変化に伴い社内コミュニケーションが減り、プロセスが見えない中で成果が求められ、会社に出勤するよりもテレワークの方が長時間労働になり、心身共に疲労がたまっているというビジネスパーソンも出てきているようです。

働き方に柔軟性が出てきた今こそ、自分で自分の仕事をコントロールし、マネジメントするスキルを高めていくことが大事ではないかと思います。

そこで、今回は仕事の進め方から変革を起こす「じぶん働き方改革」についてお伝えしたいと思います。

◇執筆者プロフィル

波上こずみ(なみのうえ・こずみ)
Cosmic Consulting(コズミックコンサルティング)代表。組織コンサルタント。

子育て・介護と仕事との両立に苦しんだ経験を踏まえ、2016年に起業。
「働く人のモチベーションを組織の活力へ!」をテーマに、沖縄の企業や個人を対象としたコンサルティングを手掛けている。
那覇市首里生まれ。1男1女の2児の育児中。

仕事がうまく進まない理由~「〇〇ない」が仕事を滞らせている!~

コンサルティングでさまざまな業界や業種に関わっていますが、うまく仕事が進まない傾向にあるビジネスパーソンには共通する要因があると感じています。
なぜうまく仕事が進まないのか、まずその共通する要因を3点お伝えします。

① 計画がない
仕事を始めようとデスクに座り、計画を立てないまま、まず目の前の仕事から手当たり次第進めようとする人がいます。集中して仕事をしていたら、電話が鳴って新たな作業の依頼を受ける。すると今まで進めていた仕事をそのままにして、新たな作業に手をつける。さらにメールを確認するとまた別の仕事が・・・。
本人は一生懸命仕事をしているつもりでも、結局目の前にある新たな案件ばかりに気を取られて、大事なことが後回し。こういう仕事の進め方、していませんか?

さらに「今までの経験があるから、感覚でできる」と言って、無計画のまま仕事を進める人もいます。今まで成功していた仕事でも、かつてと今の状況が全く同じとは限りません。同じように進めて成功できるという保証はないのです。

② 優先順位が決められない
今のビジネスにおいて、一人で複数の業務を同時に進めているという人も多いかと思います。これをマルチタスクといいますが、複数業務を同時並行で動かしていく時に大変重要なポイントの一つに、優先順位を決めるということが挙げられます。

うまく仕事が進まず業務が滞ってしまっている人は、「優先順位が決められない」というケースが見受けられます。優先順位が決められないがゆえに、急ぎの仕事を見落としていたり、本来すべき仕事がおろそかになったり、実は自分がやらなくてもいい仕事をやっていたりと空回りになってしまいます。頑張っているのに残念ながら成果が出せず評価されないというパターンです。

③ 進捗(しんちょく)管理ができない
計画を立てて満足してしまい、あとはひたすら走り続けるという方もいます。走り続けると、その瞬間は「仕事している!」という感覚で満たされますが、求めているゴールと実際の方向性にズレが出てきても気付かない可能性があります。

さらに、定期的に仕事の内容や方法について見直しをしないまま、効率の悪い仕事の進め方をほったらかしにしてしまうという状況に陥ることもあります。とても生産性の悪い働き方をしていても、結果が出るまで気付かないという事態になってしまうのです。

ゴールに向かって最大限の結果を出す仕事の進め方~じぶん働き方改革~

では、自分で自分の仕事をコントロールしながら、最大限の結果を出すにはどのような仕事の進め方が必要でしょうか。ここからは、自分の生産性を高めて、仕事の成果を出すためのコツをお伝えしていきたいと思います。

① 今日一日の計画を立てよう!〜効果的なto do listの作り方〜
やることリストやto do listを作成している人は多いかと思います。何気なく「やるべきこと」をランダムに列挙しているケースが多いかと思いますが、to do list を作成する場合にもコツがあります。今日一日、効果的に仕事を進めるためのto do list 作成ポイントをご紹介します。

・ 前日の退勤時に作成する
一日のto do listは前日の退勤時に作成しておくことをおすすめします。出勤したら前日に作成したto do list を確認し、その日一日の流れをイメージできれば、スムーズに仕事をスタートすることができます。テレワークでも同様に、一日の仕事の終わりに翌日のto do listを作成して終えるということを習慣化しましょう。

・ 細かい作業単位に関しても、「〇〇分以内で終える!」と目安時間を設定する
to do listとしてやることをまとめていても、流れをイメージしないまま進めると何となく一つの作業に没頭してしまったり、無意識のうちに必要もないメールやネットのチェックなどをしていたり、気が付くと時間が過ぎてしまっているという場合があります。どんなに細かい作業だとしても、to do listにある作業一つ一つの目安の時間を設定すると、効果的に仕事ができるようになります。

ちなみに、弊社では私もスタッフもこの目安時間を個人個人で決めて、携帯のアラームを設定するようにしています。例えば、「企画書を作成する」という項目を9時から1時間と設定し、10時にアラームを設定するという流れです。私もスタッフもアラームを活用するので、事務所内では一日に何度もアラームがなることもあります(笑)

・ プライムタイムを意識して予定を組もう
一日の中でも一人一人、その集中力の波があると言われています。特に調子が良く集中力が増す時間帯を「プライムタイム」と呼びます。自分自身のプライムタイムを意識して、下記のように仕事をアレンジしてみてください。
 ・難易度が高いタスク → プライムタイムにやる
 ・難易度が低いタスク → プライムタイム以外にやる

ちなみに私の場合、11時〜13時頃、そして15時〜16時頃がプライムタイムなので、新企画を練るとか、大事な資料を作成するといった頭の使う作業は、この時間帯に入れています。逆に、考えなくてもできるようなたやすい作業などは、このプライムタイム以外に入れることで、作業効率を良くするように心がけています。

同じto do list の作業を行うということでも、自分の調子に合わせて作業の順番をアレンジするだけで大きく成果が変わってきますので、ぜひ試してみてください!

・ 余白を入れて計画を立てる
to do listのタスクには、ぜひ余白の時間を入れてください。何もしない時間、いわゆるフリーの時間です。あるデータによると、仕事の約4割は突発的な案件に対応している時間だという結果があるそうです。つまり、仕事において、予定していないことが発生してしまうのは当然ということになります。

余白の時間を設けていると、突発的なことが発生しても、予定している業務に大きく影響が出ないような仕事の進め方が可能になります。何も突発的なことが起こらなければ、後回しにしていた業務にその時間を当てることもできますし、もちろんメリハリをつけるために休憩をしても良いかと思います。to do list作成の段階で、時間が足りないなと思うほどタスクを増やさないように、日頃から優先順位を決めた進め方を意識するのも大事ですね。

② 優先順位を決めて仕事の質を高めよう~成果につながる重要な仕事を優先的に~
優先順位のつけ方はさまざまなアプローチ方法があるかと思いますが、今回は世界的ベストセラー「7つの習慣」でステーブン・R・コヴィー氏が提唱している「重要度×緊急度マトリクス」をご紹介します。

参照 :「7つの習慣」 著書 : スティーブン・R・コヴィー

緊急度と重要度の面から4つの領域に分けて、業務の優先順位を整理する方法です。
 第1領域:重要かつ緊急 
 第2領域:重要だが緊急ではない
 第3領域:重要ではないが緊急である
 第4領域:重要でも緊急でもない
    
自分の時間の使い方が4つの領域のどこに属するか整理してみましょう。

多くの人が緊急性を優先にしてしまい、緊急ではないが重要な仕事(第2領域)のために時間を作って進めることが難しい、と言われています。緊急性が高い第1領域は最優先にすべき仕事ですが、慢性的に第3領域や第4領域の仕事に追われていると、重要な仕事が後回しになってしまい、常に何かに追われているのに成果が出しにくいという状態になります。

参照 :「7つの習慣」 著書 : スティーブン・R・コヴィー

緊急ではないが重要な仕事(第2領域)は、未来への蓄えや価値を生む仕事につながることがあるので、自分自身で意識して少しでもこの時間を確保できるように、スケジュールに強制的に設定しておくことをおすすめします。

なお優先順位については、上司部下間で解釈の差が出てしまわないように、定期的に上司と共有しながら進めていきましょう。

③ 計画やプロセスのズレがないか何度も見直しをしよう!
計画を立てた後も、そのプロセスや仕事のやり方にズレが出ていないか、見直しをすることで仕事の質が高まります。

効果的な業務推進のための方法として「PDCAサイクル」が広く知られていると思います。Plan(計画)→ Do(実行)→ Check(評価)→ Action(改善)の手順に沿って、マネジメントサイクルを回すことです。特にここで重要なのは、計画を実行した後、必ず評価を行い、改善につなげることです。計画通り実行できているか、できていない場合はどこで差異が出てしまっているのか、次に活かすにはどんな改善が必要なのか、しっかり見直しが必要です。このサイクルを何度も回すことで、より質の高い仕事につながります。

なお、VUCA時代※1においてこのPDCAも適用しなくなってきているのではないかと提起している専門家が増えてきています。例えば昨今の新型コロナウイルス感染症拡大のように、予想もできない事態に陥った時に、当初予定していたPLAN(計画)そのものが現状と大きくかけ離れてしまうのではないかという見解です。激変する環境の中で、計画に固執しすぎると想定外の出来事に柔軟に対応できなくなってしまうと言われています。

今後PDCAサイクルが適用するのかしないのかという議論は別にして、計画を立てた後も、実際今何が起こっているのか、顧客や関係者、市場の動向がどう変化しているのか観察力を高めることは、これからのビジネスパーソンには不可欠なスキルになるかと思います。そのためには、日頃から自分の仕事を主体的に進め、何度も見直し、改善するという習慣を身につけながら、環境変化に柔軟に対応できるように備えておきましょう。

 ※1 VUCAとは: Volatility(変動、激動)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(不明確さ)の頭文字から取った言葉で、数々の激動が起こっており、極めて予測不可能な状況に直面していること

最後に〜改革は自分の小さな一歩から〜

今回は、自分で自分の仕事をコントロールし、マネジメントするスキルを高めていく「じぶん働き方改革」についてご紹介しました。

働き方改革とは、働く場所の選択、長時間労働削減や時短勤務に代表される人事制度といった組織単位での外的なアプローチが挙げられますが、自分自身で仕事の進め方を工夫し成果を高めていくために、個人単位で内側から起こる変革がwithコロナ時代では求められるのだと思います。

自分で自分の生産性を高めるために努力をすることで、自分自身のスキルアップにつながり、キャリアを築く上で強みにもなります。さらに、自分の仕事をコントロールすることで、心に余裕ができ、豊かな人生を送ることにつながります。

Cosmic Consultingでは、「仕事の進め方セミナー」をプログラムとしてご用意しており、以下のような企業におすすめです。
・優先順位のつけ方を学びたい
・効果的な時間の使い方を習得したい
・チームで成果を出すための仕事の手順を共有したい

お問い合わせやお申し込みはこちらまで。
http://kozumi-naminoue.com/#contact

会社が働きやすい環境を整備するまで待っているのではなく、自分自身の進化を止めず、できることは個人単位で積極的に進めていく「じぶん働き方改革」に取り組んでみませんか。あなたの小さな一歩から改革が始まります!

【執筆者プロフィル】

波上こずみ(なみのうえ・こずみ)
Cosmic Consulting(コズミックコンサルティング)代表。組織コンサルタント

那覇市首里出身。株式会社JTBワールド、一般財団法人沖縄観光コンベンションビューローを経て、2016年Cosmic Consulting設立。
【働く人の生き生きを組織の活力へ】をビジョンとし、主に働き方改革や人材定着、人材育成プログラム構築、組織開発など、人事面から変革を起こすための組織活性コンサルティングを行っており、マスコミ、福祉法人、ホテル業界、飲食業界等、多種多様な業界に対してのべ100社以上のコンサルティング実績を持つ。
コズミックコンサルティングのHP → http://kozumi-naminoue.com/