結論ありきで情報を集める「確証バイアス」が恐ろしい モバプリの知っ得![10]

  • 沖縄県全体
このエントリーをはてなブックマークに追加

 「こっちの方が価格は安いけど、評価はこっちの方が高いな...」 

 みなさんもネットで買い物をする前に、商品の評判を調べたことはありませんか? 

 私はほぼ毎日しています…購入前に良い意見、悪い意見を見比べて分析することで、買い物の失敗がものすごく減りました。 この点において、インターネットにとても感謝しています。 

 口コミや評判を調べる時「この製品は実際、どうなんだろう?」と半信半疑のスタンスで調べると、長短どちらの意見も出てきて実態をつかみやすくなります。 

 しかしながら「この製品は素晴らしい」「この製品はダメな製品だ」と決めつけて調べ始めると、その意識に引っ張られて片一方の情報しか出てきません。 

 この現象を「確証バイアス」と呼びます。 

 確証バイアスは私たちの言動の後押しをしてくれる一方、一歩間違えれば思考を歪んだものへと変更させる恐ろしいものです。 

 今回は確証バイアスの紹介と、対策方法について書いてみます。 

インターネットと相性がいい「確証バイアス」

 確証バイアスとは、自分が信じていることを「その通りだ」と証明する情報だけを集めた結果、どんどんバイアス(偏見)がかかる(=偏る)現象のことです。

 例えば…儲かると紹介され開始したサイドビジネス。 

 実際はリスクがあり、必ず成功するわけではないにも関わらず、成功したい一心でポジティブな情報だけを集め「このビジネスは失敗せずに、必ず成功するんだ!」と勘違い・思い込みをしてしまう事象などが例です。 

 人間の先入観、思い込み、信じたいものを信じる心理などが混ざり、確証バイアスへと突入します。 

 この確証バイアス、インターネットとの相性が抜群! それがコワイところです。

 インターネットは誰でも自由に投稿できるオープンな世界のため、真偽を問わず、さまざまな意見が飛び交っています。 

 たとえば「ホロコーストは無かった」などの、現実社会では到底受け入れられない陰謀論も、ネットで検索すると多く出てきます。そのため、信じたいものを信じる心理による確証バイアスで、現実社会でも「ホロコースト否認論」を信じてしまう、ということに繋がります。 


確証バイアスの結果、犯罪に繋がる事例も…


 2016年7月、神奈川県相模原市の知的障がい者福祉施設「津久井やまゆり園」に刃物を持った男が押し入り、19人が死亡、26人が重軽傷を負った陰惨な事件が発生しました。

 犯人の男は、犯行前に衆議院議長へ宛てた事実上の犯行声明で、障がい者への嫌悪・憎悪を書き連ねていました。いわゆる「優生思想」です。「優生思想」を耳にしたこと、みなさんはありますか? 普段の生活ではなかなか耳にしない考え方でも、インターネットでは広く流布しています。そして、そのような情報に触れた時、真偽も疑わずに「この情報は正しい、きっとそうだ」と思い込むと、確証バイアスのはじまりです。

 在日コリアンを差別するヘイトスピーチデモに参加していたある男性は、毎日新聞の取材に「ネットでの書き込みを信じ、活動へのめり込んだ」と語っています。

記事:デモが居場所、暴言エスカレート 元「突撃隊長」後悔 ネットうのみ「間違っていた」(毎日新聞)

 相模原の事件も、ヘイトスピーチも、人種や民族、何かしらのカテゴリー化など特定の属性を偏見から憎悪し、暴力を行う犯罪行為「ヘイトクライム」です。

 インターネットが広く普及したことで、今後は確証バイアスからのヘイトクライムが増えることが予想されます。

 私たちもインターネットという言論空間に触れている以上、加害者にならないように、さまざまな角度から情報・意見は取り込まないといけません。ヘイトクライムを増やさないためにも、確証バイアスの仕組みを広く知り、まわりの人にも伝えることが重要になるでしょう。

 


イラスト・小谷茶(こたにてぃー)

「偏り3兄弟」にご注意を


  この連載では、先々週に「ネットのレコメンド」、先週は「SNSのエコーチャンバー現象」と続けて取り上げました。

 今週の「確証バイアス」とあわせて、「情報偏り3兄弟」と呼んでもいいかもしれません。
 

レコメンド

検索履歴などに応じて、結果が微妙に変化する機能

 

エコーチャンバー

特定の人とSNSで共鳴し、偏った意見に気がつかない現象

確証バイアス

結論ありきで、情報を集めること


 この3兄弟への対処法は基本的に一緒で、「広い範囲から情報を取り込む」ということです。 ネットだけでなく、本や新聞、テレビやラジオなどさまざまなメディアを使う。 新聞も1社だけでなく、違う論調の新聞を複数読み較べることで、視野が広くなります。

 「情報は必ずしも中立でバランスを取るべき」とは思いません。なぜなら、そもそも何が中立か、中央値かなんて基準はないし、だれもわからないからです。しかしながら、事実に基づかない情報や、他人に恐怖心を植え付ける言動へはしっかり「ノー」と意思表示する必要があります。

 そのためにも情報を取り込む際にはバランスを強く意識したいものです。結論ありきでなく、必ず「半信半疑」の姿勢で受けとめ、ゆっくり慎重に調べることも大事です。



 琉球新報が毎週日曜日に発行している小中学生新聞「りゅうPON!」6月18日付けでも同じテーマを子ども向けに書いています。

 親子でりゅうPON!と琉球新報style、2つ合わせて、ネット・スマホとの付き合い方を考えるきっかけになればうれしいです。



【プロフィル】

 モバイルプリンス / 島袋コウ 沖縄を中心に、ライター・講師・ラジオパーソナリティーとして活動中。特定メーカーにとらわれることなく、スマートフォンやデジタルガジェットを愛用する。親しみやすいキャラクターと分かりやすい説明で、幅広い世代へと情報を伝える。

http://smartphoneokoku.net/

 



「モバイルプリンスの知っとくto得トーク」はこちら

 




前の記事“94歳のモデル”に会ってみた。...
次の記事“脱ゆとり”でも小学生は悲鳴…ラ...