インターネットの百科事典サイトに、「Wikipedia(ウィキペディア)」があります。
最近では、キーワードを検索するとWikipediaのページが表示されることも多く、人名や団体、さらには過去の事件や歴史などもまとめられており、よく見る人も多いのではないでしょうか。
Wikipediaの文章を見ていると、ところどころ単語が青い文字になっています。この青い文字をクリックすると、今度はその単語のWikipediaページに飛びます。こうしてWikipediaから抜け出せずに、ついついいろんな言葉を調べてしまいます。
Wikipediaに関して、このような説があります。「すべての言葉は6リンク以内につながる」という説です。
どういうことかと言うと、一見関連性のないような2つの言葉も、Wikipediaでしっかりと繋がる。それだけ多くの情報がWikipediaで網羅されているということです。あくまで噂話ですが、Wikipediaの圧倒的な情報量が見て取れる言葉です。
手軽にアクセスでき、情報が分かり易くまとめられているWikipedia。しかしながら、仕組み上「間違った情報」が掲載されることもあるため、注意が必要です。その仕組みを説明していきます。
誰でも自由に編集できるWikipedia
一般的なWebサイトは、企業や団体・管理人である個人ユーザーが書き込み、サイトを作ります。
一方のWikipediaは、登録したユーザーが自由に書き込み、編集できるようになっています。
きちんとした企業・団体が運営しているWebメディアでは、書き込む内容を複数人で確認し、間違いがないように何重にもチェックします。
(それでも、人間がチェックしている以上、間違いが出てしまうのが難しいところです)
一方、Wikipediaの方は、情報を書き込むのは登録したユーザーです。メールアドレスやパスワードの登録だけで、すぐに書き込むことができるため、間違った情報、いやがらせを目的とした書き込み、いわゆる「荒らし」行為が行われることも。特に有名人の不祥事が報じられた時などは、荒らし行為でWikipediaにデタラメ情報が書き込まれることが多々あります。
こうした不正確・不適切な書き込みがあった場合は、それに気がついた別のユーザーが修正する仕組みになっています。Wikipediaは編集するユーザーを増やすことで、自浄作用を発生させ、長期的なスパンで見ると修正されるというスタンスをとっているのです。
つまり、今見ているWikipediaの情報が、後日「間違いだった」と修正される可能性があるということです。また複数人がチェックしないようなマイナーな項目は、自浄作用が働かず、間違った情報がそのまま掲載され続けるということです。
便利で頼りがいのあるWikipediaですが、過信はせず、他のサイトや本・新聞などを含めて調べることをオススメします。
まとめサイトとの違いは?
Wikipediaの収益構造は他のWebサイトとは違う、少しユニークな仕組みになっています。
それは閲覧者からの「寄付」で成り立っているということです。
一般的なWebサイトは、サイト内に広告を掲示して、閲覧数・クリック数に応じてお金が入ってくる仕組みです。
しかしながらWikipediaは、「百科事典としての中立性を保つため」ページ内に広告を出さず、寄付に頼る運営をしています。
その他にも「独自の考えを発表する場ではありません」「マニュアル、ガイドブック、教科書、学術雑誌ではありません」と細かい独自指針があげられています。
先週、この連載で「まとめサイト」の問題点を書きました。
まとめサイトとは、ネットの書き込みをまとめ「コンテンツ化」するサイトのこと。
まとめサイトはお金目当てで運営している所も多く、「情報が不確かでもアクセスが増えればいい!」という考えになりがち。Wikipediaとは真逆の方針です。
Webやメディアから情報を得る場合は「このサイトはどうやってお金を稼いでいるのか」「どんなポリシーで運営しているのか」を確認することで、自分自身の警戒度も変化し、デマに惑わされにくくなります。
Wikipediaもまとめサイトも検索上位に出てくることが多いのですが、しっかりと見極めた上で頭の中にインプットしましょう。
琉球新報が毎週日曜日に発行している小中学生新聞「りゅうPON!」10月22日付けでも同じテーマを子ども向けに書いています。
親子でりゅうPON!と琉球新報style、2つ合わせて、ネット・スマホとの付き合い方を考えるきっかけになればうれしいです。
【プロフィル】
モバイルプリンス / 島袋コウ 沖縄を中心に、ライター・講師・ラジオパーソナリティーとして活動中。特定メーカーにとらわれることなく、スマートフォンやデジタルガジェットを愛用する。親しみやすいキャラクターと分かりやすい説明で、幅広い世代へと情報を伝える。