比嘉愛未さん「会うたびにドキドキ恋するような気持ちになる」〈インタビュー㊦〉


この記事を書いた人 仲程 路恵

楽しく演じ、周り元気に

幅広い役柄を演じ、舞台などにも活躍の場を広げるうるま市出身の女優・比嘉愛未(32)に、これまでの活躍と理想の女優像、家族への思いなどを聞いた。(聞き手・藤村謙吾、写真・又吉康秀)

沖縄について語る女優の比嘉愛未さん =5月25日、那覇市泉崎の琉球新報社

―2005年の女優デビューから10年以上がたち、役柄も広がっている。

「もともとは、自分が持っているものを引き出して演じることが多かった。だが、自分自身が見たことのない自分を見てみたいという気持ちが常にある。だから“これはちょっと自分のイメージじゃない”などと縛らないようにしている。求められることにできる限りチャレンジしたいし、常に応援してくれる人たちにも“こんな顔をするんだ”とか“こんな役もやるのか”という驚きやわくわくを届けていけたらと思う」

―理想の女優は。

「ずっと大好きなのは、NHK連続テレビ小説『どんど晴れ』でご一緒した草笛光子さんだ。女優さんとしてだけでなく人としてのオーラがすごい。日々の生き方や心掛けから、こういう女性、女優になりたいと思える方だ。先日NHKの土曜ドラマ『バカボンのパパよりバカなパパ』の撮影でお会いした時も、あれだけ素晴らしい大女優さんなのに常に謙虚な姿で、私みたいな後輩にも優しく接してくださった。会うたびにドキドキして“すてき”と恋をするような気持ちになる。そういうピュアな気持ちを忘れずにいたら、私も常にキラキラしていられると思う。おこがましいが、いつかそういうふうに思ってもらえるようになりたい」

沖縄の作品、出演に意欲

―沖縄に帰った時はどのように過ごすか。

「まず地元に帰る。地元でホテルに泊まる人もいるが、私は実家で家族と食事をするなど、なるべく普段の日常を過ごす。そうすることで、東京で役者として表に出ている時のスイッチを1回オフにし、何もない真っさらな比嘉愛未に戻れる気がする」

―家族との食事の時間を大切にしている。

「チャレンジャーな両親だったので、エスニック料理とか多国籍な料理がしばしば食卓に並んだ。父がダッチオーブンにはまり、何時間もかけて肉を焼いてくれたこともある。パパッと料理を作るんじゃなくて時間をかけて作る。大事なコミュニケーションの時間だ。それがあるからより料理もおいしく感じる。父と“私はサラダを作るね”“料理に合うワインを東京でお土産に買ってくる”とかやりとりするのも楽しい。私にとってはどんな高級なレストランでおいしいものを食べるよりも価値のあるぜいたくな時間だ。そう思うようになったのは本当に最近だ。年々落ち着いてくるというか、自分にとって大事なものがいい意味で絞られ、はっきりとしてきた気がする。私にとって大事なのは家族だ」

―今後の活動について。

「名前から沖縄出身と分かるが、私は“沖縄のイメージがあまりない”と言われる。もう少し沖縄の作品に出てみたり、沖縄の良さを発信したりしたら、喜んでもらえるかなと思う。“比嘉愛未って人、頑張っているね。私たちも励まされるし頑張ろう”と思ってもらえたら幸せだ。5月25日付の新聞(琉球新報別刷りで比嘉愛未さんを特集)は特におじいやおばあが喜んでいた。家族が喜んでくれるのがうれしい。もっと頑張って長く女優を続けたい。今は30代にしかできない役を演じ、40、50代と続けて“この人いつも楽しそうだね”と思ってもらえたらいいなと思う」

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比嘉愛未が出演するNHK土曜ドラマ「バカボンのパパよりバカなパパ」は30日開始予定(全5回)。

「劇場版 コード・ブルー~ドクターヘリ緊急救命~」は7月27日より全国ロードショー。

 

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