「21で家を建てた」その男の正体は…沖縄CMものがたり[13] ホーム21


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「僕は21で家を建てた♪ 21で家を建てた 21で建てました~」。白いシャツを着た男性が、両手を広げてマイホームの前で歌って踊っている。堂々とした歌唱力は歌手の平井堅のようだ。

「21歳で家が建てられるなんて、うらやましい」。テレビやラジオでおなじみのCMが耳に残る。放映しているのは那覇市にある総合建設・不動産業の「株式会社ホーム21」(玉城和広代表)。CMの歌詞は年齢と会社名との掛け言葉だった。

昨年11月下旬、ホーム21の本社を訪ねると、営業課長の西銘允謹(みつのり)さんが「さすがに21歳で家を建てたお客さんはいません」と苦笑い。「でも、最近は金利が低くなっていますから、20代後半でマイホームをつくる人は増えています」と胸を張った。

かっこ良く歌える人

CMの放映が始まったのは2017年5月。ホーム21はその前年の年末、那覇市真嘉比の広告代理店の株式会社・グレート(久貝浩也(ひろなり)代表)に依頼し、案を練り上げた。歌詞を考えた久貝代表は「21歳で戸建て住宅?と中年層が抱くギャップに意外性があると思った」と話す。

ホーム21は住宅の設計・建築を中心に、土地売買の仲介なども手掛ける。テレビCMは3種類。第1弾は男性の独唱、第2弾から住宅の庭と門構えが映り、第3弾は家族が登場するなど、幸せな暮らしを演出している。主人公の男性を演じているのが西銘さん。久貝代表は「ビジュアル系バンドの元祖・GLAYのメンバー風にかっこ良く歌える人を選んだ。西銘さんはイケメンだからぴったり」と太鼓判を押す。

CMに出演している西銘允謹営業課長=2018年11月21日、那覇市真地の株式会社ホーム21

決めのポーズも

西銘さん自身、CMの出演にためらったそうだが「上司から勧められ断れなくて」と振り返る。それにしても…。切れのいい体の動きや、水しぶきを浴びながら髪をかき上げるしぐさはモデルのようで“半端ない”。「本物の僕とCMはギャップがあるようです。友達も気がつかなかった。CM放送から半年後、もあいの仲間から『CM出ているよね』と言われたぐらいですから」

てきぱきとした所作で顧客の対応をする。普段の西銘さんもスマートな印象だ。帰り際に両腕を交差させ左手はピースサイン、右手は人さし指を伸ばす、CMの締めのポーズを見せてくれた。「2と1で21、ホーム21を表しています」。一瞬、CMの中の西銘さんが顔をのぞかせた。 

(随時掲載)
(2019年1月13日 琉球新報掲載)