スカート?ズボン?「しなくてもいい我慢もある」沖縄で広がる制服選択制に込めた願い


この記事を書いた人 稲嶺 盛裕
「制服選択制導入で保護者からのクレームなどを懸念していたが、今のところはそのようなことはない」と語る喜瀬実名子先生=那覇市松尾、那覇高校(撮影・滝畠豊美)

那覇高校で導入を提案した喜瀬実名子養護教諭に聞く

女子生徒はスカート、男子生徒はズボンという制服が、沖縄県内の高校では当たり前ではなくなってきている。性別に関係なく、スカートでもズボンでも制服が選べる「制服選択制」が広がり、4月以降は県立高校25校で導入予定だ。心と体の性が一致しない性同一性障害の人への配慮が背景にある。沖縄県内では昨年4月に導入した浦添高校に続き、今年1月から那覇高校と西原高校で運用が始まった。

那覇高校で「制服選択制」を提案した喜瀬実名子養護教諭(40)は「しなくてもいい我慢は、する必要はないと思う」と語る。

知花亜美(琉球新報社編集局記者)

きっかけは竹内清文さんの講演

沖縄県内でLGBTや人権などについて講演活動を行っている竹内清文さん=2017年11月、名護市内

那覇高校で制服選択制の議論が起こったきっかけは、県内各地でLGBT(性的少数者)や自己肯定感、人権などについて講演している竹内清文さんの講話だった。

2017年12月に那覇高校で全校生徒を対象に実施したところ」、その講話を聞いた卒業生が18年6月、竹内さんに「制服選択制を母校で導入できれば」という提案があった。講演を企画した喜瀬さんは、生徒指導部の教諭らと実現に向けて動きだした。

校内では賛否意見があったが2018年12月、最終的に学校長が「まずはやってみて、何かあればその都度対応しよう」と導入を決断した。

LGBTだけではない

「しなくてもいい我慢は、する必要はないと思う」と語る喜瀬実名子さん

喜瀬さんは「卒業生の後押しと、共感してくれる生徒指導の先生たちの力が大きかった」と語る。さらにLGBTだけでなく「足に傷がある子や、寒い日に女子生徒がズボンをはく場合もあるだろう。相談がないから、悩みはないだろうとするのは違う。言えない子の方が多い」と少数者にも目を配る。

琉球新報でも連載をしている竹内さんは、ゲイであることを公表し、県内外の小中高校で講演に招かれている。

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これまで開催した講演の数は100校以上。喜瀬さんは2016年、前任校の宮古総合実業高校で、同じ養護教諭仲間と共に、県内で初めて竹内さんの講演会を企画した。それが他校にも広がった。2018年4月から制服選択制を導入している浦添高校もその一つだった。

那覇高の制服は現在セーラー服と学ランだが、喜瀬さんは、いずれはより選択しやすいように、ブレザーへの変更を目指している。

 

 

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