HY・名嘉俊さん おきなわマラソンに初挑戦


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来年2月16日(日)に開催される第28回2020おきなわマラソン(主催・中部広域市町村圏事務組合、琉球新報社、沖縄テレビ放送、沖縄陸上競技協会、県総合運動公園指定管理者トラステック・ミズノ共同企業体、主管・おきなわマラソン実行委員会)の申し込み受け付けが9月1日から始まった。今回はゲストランナーにHYの名嘉俊さん(ドラム)を迎える。初めてのフルマラソン挑戦となる名嘉さんは「すてきな思い出をつくりたい」と話し、新たなチャレンジに心を躍らせる。

苦手な長距離克服、満喫誓う

おきなわマラソンに初挑戦する名嘉俊さん(左)と、コーチとして支える津波真澄さん=那覇市の奥武山公園(名嘉さんの衣装協力・大会オフィシャルウェアパートナーSVOLME)

うるま市出身のバンド「HY」のドラム名嘉俊さんが、おきなわマラソンに挑戦する。フルマラソンに挑むのは初めてという名嘉さんは、野菜ソムリエプロ、アスリートフードマイスター1級として活躍する津波真澄さんの全面サポートを受け完走を目指す。「苦しそうになってたら優しく声を掛けてほしい。それはお互いさまで。すてきな思い出をつくりたい」。地元を駆けるおきなわマラソンを思う存分満喫する考えだ。

「なんでお金払って走らないといけないのか」。こう断言するほど、長距離走が苦手だったという名嘉さん。社会の先生を目指していた子どもの頃は部活動にも入っていなかった。それでもミュージシャンとして、人として一皮むけると信じ、「苦手を克服すること」をモットーとして何事にも取り組んできた。

長距離走にも挑戦しており、これまであやはし海中ロードレース大会に3回出場するなどハーフマラソンは経験済み。だが、42.195キロは未知の領域。「走り終わった後、また走りたいと思えるようにしたい」と完走に向けた体づくりに入った。

8月下旬、奥武山公園で津波さんからアドバイスを受けながら練習を始めた名嘉さん。「うるま市で1、2を争うくらい固い」などと話しながらも、体の可動域を広げるために肩甲骨や股関節を中心とした準備体操をこなした。

「シューズはゆるいとダメ」。津波さんが注意した名嘉さんの靴のひもはゆるゆるだった。かかとを靴に合わせるとサイズも大きいことが判明した。しっかりひもを結んだ名嘉さんは「全然違う。めちゃくちゃよい。明日からメンバーのひもも結ぶ」と感激した様子で語った。

その後はフォームを確認するために公園内を少しランニングした。津波さんは「腕は後ろに引く。それで体に推進力がつく」と名嘉さんにアドバイスした。

フルマラソンを走り切る体をつくるために津波さんから「色がカラフルな食事を」と提案された。

本番に向けた体づくりで重要な年末年始に全国ツアーが控える名嘉さん。それでもできる限り時間をつくり、練習に励むと誓う。「父はフル(マラソン)を2回完走した。父の記録より早い5時間半を切りたい」と意気込んだ。

得た感覚 音楽に反映したい 名嘉さんに聞く

フルマラソン初挑戦への意気込みを語る名嘉俊さん

フルマラソン初挑戦でおきなわマラソンに出場するHYのドラム名嘉俊さんに意気込みなどを聞いた。

―あまり好きではないというフルマラソンに出場しようと思ったきっかけは。

「今回メモリアルな2020年という年にお誘いが来た。すぐ『やらせてください』と言った。今もあまり好きじゃないですけど、苦手なものを好きになるというのが僕個人の生きる上でのテーマ。その一つがマラソンだった」

―過去に経験があって嫌いになったのか。

「いや。自分は短距離が好き。長距離は『ただ疲れるだけじゃないか』という感じだった。でも登山もそうだが、登った人しか知らない世界がある。今年36歳になり、20歳のころよりも明らかに冒険心、探究心が衰えている。音楽に反映させるためにもっともっとハングリーな気持ちを持ちたいというのがある。その一環がマラソンだった。嫌いだけど、やり続けて全然違う角度で見たら実は好きなんじゃないか。ハーフマラソンの完走は自分の中で自信につながった。フルを走れるとさらに自信になると思う。走った人しか分からないこともあるだろう」

―走ることで自信につながるのは音楽活動か。

「全てはミュージシャンとして音楽に反映して、自分がフルマラソンで得た感情なんかを音楽に変え、他の人たちと多幸感などを共有できたらいい。リタイアなく走れて、それが癖になったらいい。どういう風に好きになるか。自分の中ですごくわくわくしている。楽しみながら走れたらいい」

―コースは地元。どんな思いか。

「普段は車で走ることがほとんど。今まで気付かなかった部分にも気付けると思う。やっぱり沖縄特有の人情。ゆいまーるという言葉もある通り、走っているみんなで『楽しいね』とか『最後まで楽しんで走ろうね』とかそういうのを沿道で応援してくれる人たちも含めてつながりたい」

―一緒に走る参加者へのメッセージは。

「僕が苦しそうになったら優しい言葉を掛けてほしいですね。それはお互いさまで。すてきな思い出を作りたいと思っている。ベテランから初心者までワイワイ走れたらいい。30キロ地点とかから大変だと聞くけど、それさえも終わった後には笑いながら『あれすごかったよな』とか『きつかったよな』とかゲラゲラ笑いながらみんなの仲間に入りたい」

走る前のストレッチ 肩甲骨まわし

 

名嘉俊さんの衣装協力:大会オフィシャルウェアパートナー SVOLME

 

<練習編はこちら>

なか・しゅん
1983年5月生まれ。うるま市出身。結成20周年を迎えるバンドHYのドラム。HYの数々の楽曲を作詞作曲する。フルマラソン初挑戦で完走を目指す!

つは・ますみ
野菜ソムリエプロ、アスリートフードマイスター1級。ミセスジャパン2019沖縄大会クラシックミセス部門グランプリ。フルマラソン自己ベストは2時間59分30秒。

(2019年9月1日 琉球新報掲載)