養鶏場が手掛ける新鮮卵のスイーツ 美ら卵(ちゅらたま)養鶏場


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素材の味生かした商品づくり

美ら卵養鶏場店長の知名真理さん(左)とオープン当初からのスタッフ、前原真以さん。養鶏場の卵をふんだんに使ったスイーツは人気で、コンテストの受賞歴もある。「これからもっと成長していきたい」という思いを込めて数年前にロゴマークをニワトリからヒヨコに刷新した=南風原町喜屋武の「美ら卵養鶏場」

自社養鶏場の卵を使ったスイーツを製造・販売する美ら卵養鶏場。黄卵たっぷりの濃厚プリンやふわふわでしっとりした食感のシフォンケーキなどは手土産や子どものおやつとしても好評だ。店長の知名真理さん(36)は、両親が営む養鶏場直営店ならではの強みを生かして、卵のおいしさを味わえるスイーツ作りに取り組んでいる。

シフォンケーキやプリン、台湾カステラ、パウンドケーキ……。優しい色味の商品が店先に並ぶ。「美ら卵養鶏場」は卵の魅力を知ってもらおうと201 3 年にオープンしたスイーツの店だ。使用する卵は店長、知名真理さんの父・諸見里元(はじめ)さんと、母・千枝美さんが営む養鶏場から採れた新鮮なもの。卵の味が引き立つ商品は地元客を中心に幅広い年齢層に親しまれている。

「卵は新鮮で、餌にこだわっているので、独特の生臭みが少ないと良くいわれます」と知名さん。EM飼育、海藻、木酢液、パプリカなどを配合した餌や水、飼育環境にこだわって育てられた卵は甘みとコクがある。店内で販売する卵自体のリピーターも多い。

6次産業化に挑戦

養鶏場の卵を利用して「卵のおいしさを届けたい」と六次産業化を模索したことがスイーツの製造・販売を手がけるきっかけに。家族でどんな店にするか案を出し合った。「お弁当屋やチキンの丸焼きなどいろいろ案はあったのですが、ピンとこなくて。『ケーキ屋がいいんじゃない』と提案しました」と振り返る。

店のオープンに伴い運営を任されたのが6姉妹の次女で当時美容師だった知名さん。ケーキ作りも未経験で、「ゼロからのスタート」だった。パン屋やホテルのスイーツ作りに携わった経験を持つ義姉の小森奈津子さんと二人で中心となり、家族の協力のもと準備に明け暮れた。専門家による講習を受けながら、試行錯誤の末、メニューが完成。オープンにこぎつけた。

卵の風味が楽しめる「シフォンケーキ」

開店後、めきめきと人気が出たのがシフォンケーキ。当初はマフィンを主軸に展開していたが、卵の味が強く出るものから売れ始めた。「シンプルなケーキなので素材そのものの味がしっかり出てくれるんです」と知名さんは説明する。現在はシフォンケーキの他、台湾カステラ、プリン、パウンドケーキなど卵をふんだんに使った商品が特に人気だ。加工品のコンテスト「おきなわ島ふ~どグランプリ」でも受賞するなどし、注目度も増している。

3児の母でもある知名さんはオープン以来仕事と育児に奮闘している。昨年12月には長女が生まれ、2週間後には職場に復帰。スタッフは女性が中心で子育て世代も多く「みんなでサポートし合っている。スタッフに助けられています」と感謝する。

家族で撮影した宣材写真(美ら卵養鶏場提供)

子どもにもやさしいおやつを

母親としても食について気にするようになったという知名さんたちが作る商品は、手作りで、保存料を一切使っていない。甘さ控えめの素朴で優しいスイーツは子どものおやつにも好評だ。「できるだけ子どもにやさしいおやつを食べさせたいという方に使っていただきたい。手土産としても喜ばれる商品づくりを心掛けています」

きめ細かくしっとりした食感の「台湾カステラ」
「濃厚卵プリン」は卵黄をたっぷり使い濃厚でまろやかな味わい

現在は、南風原兼城店と沖縄市店に加え、昨年11月末にオープンした南風原喜屋武店の3店舗を運営する。今後はスイーツだけにとどまらない展開を見据えている。「やっぱり卵のおいしさを届けたいというのが一番の思い。今はスイーツで伝えていますが、他にどういった卵の楽しさを届けられるのかと社内でよく話し合ったりします」という知名さん。子どもの頃から毎日のように食卓に並んでいた両親たちが育てた大好きな卵。卵が主役のおいしさを届けるため、新たな可能性にも目を向けている。

(坂本永通子)


美ら卵養鶏場

南風原兼城店 南風原町字兼城293
TEL 098-889-1950

南風原喜屋武店 南風原町喜屋武396-8
TEL 098-955-3978

沖縄市店 沖縄市南桃原3-36-18
TEL 098-933-6623

https://churatama.base.shop/

兼城店と沖縄支店には卵の自動販売機もある

(2023年3月23日付 週刊レキオ掲載)