沖縄料理で一番人気はどれか。全国的な知名度も上がった今こそがきっと決着をつける時。そう思い立った本島北部、中部、南部と宮古、八重山の「てみた。取材班」が総力を挙げ、一斉調査を試みた。
沖縄料理の中から種類の多い天ぷら、汁物、チャンプルーに絞り、究極の選択を75人に迫ってみた。「あなたはどれが好き?」
1位は堂々の「魚」
分厚い衣と、ほどよい塩気が人気のうちなー天ぷら。てみた取材班の調査では、魚天ぷらが2位のイカに圧倒的な差を付けて首位に。2位に僅差で3位のモズクは、南部では一番人気。5位のうむくじ天ぷらは那覇市内の高校生に人気のようだ。ランク外では豆とソーセージ、ピーマンなど、オリジナルレシピも飛び出した。
外見ではどちらか分からない「魚か、イカか?」問題は、天ぷら好きなら誰もが経験するだろう。「魚とイカの両方があってこそ沖縄の天ぷら。設問が変だ」とのご指摘も! すみませ~ん。
天ぷらと言えば上間弁当天ぷら!牧港店には、10種類以上の天ぷらがずらりと並ぶ。
一番人気は魚天ぷら 2番目はイカ。
上里昌也店長は「衣の卵汁から味がついています。カラッと仕上がるように冷えた衣を使ってます」と話した。
軍配は「中身汁」に
イナムドゥチと中身汁―。正月や旧盆など、祝い事や行事に欠かせない沖縄の二大汁物の頂上決戦は何度も「待て」の声が掛かるほど、この二択で悩む人が相次いだ。結果、軍配は中身汁に。
那覇市と北部、八重山ではイナムドゥチ、中部、南部、宮古で中身汁が人気で、地域ごとに勝敗は異なった。宮古では「イナムドゥチって何?」の声も。
人気急上昇中のヤギ汁も中部を中心に票を伸ばし3位。ソーキなどのがっつり系も人気。八重山では牛汁、北部では「捕って食べる」とヤマシシ汁を選ぶ人も。ワイルド~!
花笠食堂は足かけ50年の老舗。汁物では専用の白みそを使う。イナムドゥチやカツオだしの中身汁が人気だ。すべての定食にイナムドゥチや中身汁の汁物が付いてくる。
やっぱり「ゴーヤー」
もはや何チャンプルーか分からなくなるほど、あまりに身近な沖縄料理、チャンプルー。調査では王道のゴーヤーが1位に輝いた。
しかし地域で好みはさまざま。農業が盛んな北部、南部ではゴーヤーが人気。中部と那覇、八重山で豆腐、宮古ではフー(麩(ふ))が一番人気だった。お財布に優しいソーメンとマーミナー(もやし)は4位タイだ。
ランク外のチキナーとタマナー炒めは「チャンプルーじゃなくイリチー」と判断した人も(実際はどちらでしょう)。
北部では「どれか一つ選ぶなんてできない!」と「選べない」と答える人もいた。
いちぎん食堂は24時間営業の有名店。ゴーヤーチャンプルーは年中注文がある人気メニューだ。
『いかに早く出すかが勝負。こだわりの豆腐は「昔ながらの味」の豊見城市の當銘豆腐。でも母親の味はなかなか出せないね。』(赤嶺正弘店長)
南部の調査結果にあった「シカムドゥチ」。イナムドゥチ? と思わず聞き返してしまうメニューだが「与那原では給食に出ていました。イナムドゥチのみそがない汁物です」とはんみね記者。ますます気になるたぶちゃん記者。
県発行の健康教育の副読本によると、昔はイノシシ肉を用いていたため「イナ(いのしし)もどき」がなまったとされるイナムドゥチに対し、シカムドゥチは昔、シカ肉を使っていたという。今はどちらも豚肉で、短冊切りのかまぼことこんにゃくなどが具材だ。
白みそのイナムドゥチは冬の献立、すまし汁のシカムドゥチは夏の献立とか。給食ではほぼ全県的に提供されているようだ。知らないうちに食べていたかも?
(2018年5月20日 琉球新報掲載)