バスケW杯まであと11カ月! バスケ情報誌「OUTNUMBER] で地元を盛り上げる 沖縄バスケットボール情報誌「OUTNUMBER」GM(ゼネラルマネージャー)金谷康平(かなや・こうへい)さん


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母の地元・沖縄でバスケ情報誌を創刊

自身が運営するレンタルバスケコート「ディーナゲッツ沖縄コザ店」で、ゴールに豪快なダンクシュートを叩き込む金谷康平さん。アウトナンバーでの活動を含め、沖縄バスケのレベル底上げや普及に全身全霊を注ぐ=沖縄市の中央パークアベニュー沿い 写真・喜瀬守昭

沖縄アリーナなどを会場に来年開催されるバスケットボール男子のFIBAワールドカップ開幕まで、あと11カ月。本番に向け、県内の機運を高めていこうと奮闘する地域メディアがある。沖縄バスケットボール情報誌「OUTNUMBER」(アウトナンバー)だ。県内で開かれる関連イベントを取材したり、他国の有力選手を紹介したりと、「沖縄」と「バスケ」の2本柱に特化したメディアならではの感性で情報を発信している。今後、W杯に向けてどのような活動を展望しているのか。GM(ゼネラルマネジャー)を務める金谷康平さん(38)に話を聞いた。

生まれ育ちは東京だが、母の出身地である沖縄は常に身近な存在だったという金谷さん。バスケは小学校高学年の頃に始めた。中学2年の時に東京体育館で開かれていた全国高校選手権(ウインターカップ)の準々決勝で北谷高校が“絶対王者”能代工業高校と互角の戦いを演じた試合を目の当たりにし、アメリカナイズされた個人技やスピード感あふれる沖縄バスケの熱狂的なファンになった。

元々サッカーを中心にスポーツ関連の書籍も好んで読んでいたが、「日本にはバスケジャーナリズムが少ない」「沖縄バスケの歴史はちゃんと記録されるべきだ」と感じていたこともあり、2018年10月に沖縄でアウトナンバーを創刊した。

これまでに発行したアウトナンバーの冊子。7月には雑誌「モモト」内で紙が復活した

バスケ関係者と積極交流

金谷康平さん

創刊から4年。これまでBリーグの琉球ゴールデンキングスや学生カテゴリの大会を精力的に報じてきたが、目下の最重要ミッションは来年8月25日~9月10日に沖縄、フィリンピン・マニラ、インドネシア・ジャカルタの3都市で開催されるW杯の機運醸成だ。沖縄の会場となる沖縄アリーナでは、開催国枠で出場する日本を含む8カ国が予選ラウンドを戦う。

バスケ専門メディアとして「バスケに親しんでいる人に興味を持ってもらうことは大事」と、沖縄アリーナで開催された日本代表のアジア予選なども湧川太陽編集長を中心に取材を重ねる。一方、金谷さんは「生活するコミュニティーに世界的な大会がやってくることは本当にラッキーなこと。バスケを知らない人たちにもW杯を知ってもらいたい」と語り、関連イベントにも積極的に足を運んで地域の盛り上がりを生み出そうとしている。

昨年、スポーツを観戦するための施設として国内最新鋭の設備を備えた沖縄アリーナが完成し、W杯も控えていることから、今沖縄には視察などで国内外から多くの関係者が足を運ぶ。「いろいろな所から人が来て、とても交流が増えている」という。雑誌に執筆したり、動画サイトの配信番組に出演したりと、さまざまなチャンネルを活用して沖縄バスケの歴史やW杯の見どころを紹介している。

いろんな国の選手知って

W杯におけるアウトナンバーの特徴は他国の選手にもフォーカスを当てている部分にある。多くのメディアがどうしても日本代表に特化して報道しがちだが、アウトナンバーは現在世界各地で開かれている予選の結果も逐一ウェブサイトで報じている。アジア地区予選の日本の対戦相手についても、試合前からチームの特徴や注目選手を細かく紹介してきた。

「多くのメディアで日本代表が中心になってしまうのは仕方のないことですが、各国にはそれぞれの魅力があります。自分たちはできる限り、いろんな国のいろんな選手を取り上げて、盛り上げていきたいです」と語り、他メディアとは異なる視点を大切にしている。

那覇てんぶす前広場に設置されたバスケ男子W杯のカウントダウンクロックの前で笑顔を見せる金谷さん

一方、現在の課題はライターの育成だ。学生カテゴリ、キングス、W杯を伝える中で「もっと充実した記事を出していきたい」と意欲を見せる。「スポーツジャーナリストは一人一人得意な領域が違っていて、専門性がある。そういう書き手を増やしていきたいです」と展望した。

(長嶺真輝)


沖縄バスケットボール情報誌「OUTNUMBER」

当初は四半期に一回紙媒体を発行していたが、現在はウェブでの情報配信が主体

https://outnumber.online/

(2022年10月6日付 週刊レキオ掲載)