自然環境の学び場づくり
「自然と環境の保全は足元から!」をモットーに自然と環境の回復、保全活動などを行っている「おきなわ環境クラブ(OEC)」。自然体験を通じて環境への理解を深めてもらおうと、植生再生活動や環境教育、人材育成など、さまざまな企画を実施している。創設メンバーでもある会長の下地邦輝(くにき)さんにOECについて話を聞いた。
5月の13日(土)の朝、那覇市の漫湖公園で、「おきなわ環境クラブ(OEC)」による水辺の緑化ボランティア活動が行われた。OECは月に1度、埋め立て地の漫湖の南北両岸で、在来植物の再生活動に取り組んでおり、集まった約10人のボランティアは以前植えた植物のまわりの下草刈りや追肥に励んだ。10年以上もここでのボランティア活動に参加しているという那覇市の女性は「最近は個人的に草刈りなどをする人も増え、環境が良くなった」と話す。
OECは1999年に創立。水辺の緑化活動をメインに、観察会、エコツアー、人材育成、環境教育、教材開発などを地域や学校、企業、行政機関とも連携を図りながら展開している。
一人一人の理解が重要
会長の下地邦輝さんは大学時代から約半世紀にわたり沖縄の水環境の調査研究に取り組んできた研究者だ。「環境の課題は一人一人が理解することが必要。例えばごみ拾いを何度やっても同じで、元から絶たないと根本的な解決にならない。理解を深める活動を定着させようと思い(OECを)つくった」と話す。
設立当初からサガリバナの植樹やマングローブの保全などを実践してきたOEC。汚染など人間活動による影響を受けやすい水辺の植物を中心に扱ってきた。下地さんは「植物は移動しない。自分が植えた木の成長も見えるため、入り方として扱いやすい題材」と植物に注目した理由を話す。
沖縄本島に2カ所と宮古に3カ所の5カ所が主なフィールド。また、さまざまな地域で観賞会なども開催し、植物や自然の解説も行っている。那覇市の国場川河口の漫湖公園や川岸、うるま市州崎の「マングローブテラス」、宮古島市平良の添道(そえどう)サガリバナ群生地などで緑化活動を進め、環境教育の場としても活用してきた。宮古島の群生地では20年以上前にサガリバナを植樹。毎年6月下旬から7月上旬にかけて遊歩道で行われる夜のライトアップは今年で11回目を迎える。一晩で約500人が訪れるほど、夏の風物詩として定着した。漫湖公園河川敷では、これまでに千本以上のサガリバナを植樹してきた。「並木の様相は呈してきている」と今後の展開に期待する。
自立した環境NPOへ
2002年にはNPO法人に認定されたOEC。公的機関からの業務委託や助成金なども活用しながら活動を続けてきた。2015年には「沖縄教育旅行社」を設立。「楽しくしっかり学ぶ」をキャッチフレーズに、今まで培ってきた「自然と環境の学習」のビジネス展開を目指す。コロナ禍から回復しつつある今、修学旅行生などの本格的な受け入れに意欲を見せる。下地さんは「一番の課題は安定した運営。どんな素晴らしい理念を持っていても、継続できなければ意味はない。経済的に自立していかないと」と語った。
設立から24年がたち、活動の成果が表れつつある。「今はわれわれが植えた木があちこちにあり、木が大きくなってきた。やっと成果が見えるようになり、理解してもらえるような時がきた」と感じている。赤土等流出やごみ問題など、まだまだ環境の課題は多い。「これまでの経験や蓄積を、さまざまな機会を利用して世の中へ還元していきたい」と意気込む下地さん。未来につなげる環境教育を積極的に続けていく。
(坂本永通子)
添道サガリバナ 夜のお花見
6月24日(土)~7月4日(火)19:30~21:30
添道サガリバナ群生地(宮古島市平良)
200円(サガリバナ協力金)
サガリバナ観賞の夕べ
①国場ガイドツアー
6月29日(木)20:00~21:00
500円 要申し込み 定員:25人
②末吉公園
7月9日(日)・10日(月)19:30~21:00
末吉公園内花見橋近く 無料 申し込み不要
※詳細やその他イベントについてはHPを参照
おきなわ環境クラブ
TEL 098-833-9493
http://www.npo-oec.com/
(2023年6月8日付 週刊レキオ掲載)