20周年記念公演は刑事主役の「バカコント」
「この世にまたとない、絶世のエンターテインメントを。」というモットーを掲げて1999年に旗揚げした、劇団O.Z.E(オゼ/ORIGIN ZESSEI ENTERTAINMENTの略)。ウチナーンチュの普段の話し言葉をせりふにし、身近なテーマを表現しながら、演劇の楽しさや楽しみ方を広めてきた。結成当時の頭(かしら)である「ひーぷー」こと真栄平仁(まえひら・ひとし)さんと、中心メンバーに語ってもらった。
テレビやラジオでおなじみの人気司会者ひーぷーさんは、劇団O・Z・E創設メンバーで、現在も深く関わる人物。1994年結成のお笑いコンビ「ダーティビューティ」解散時に、劇団の旗揚げを決めた。
「人を笑わせる事から感動させたくなったんです。舞台の仕事を続けたかったし、役者志望の子が何人かいましたから」
お笑い事務所「オリジン・コーポレーション」に演劇という受け皿を加え、人材の広がりにも期待したそうだ。20年を振り返ると、「15年は頭としてがむしゃらに突き進みました」とのこと。
「演劇はお金に結び付かず食べていくのが難しい。僕も裏方をやりながらアルバイトをしていましたし、やる気があっても辞めていく子がたくさんいました。なので続けているメンバーは本当にすごい。一生懸命稽古し緊張で本番を迎え、終演後に良かったと言われる。その達成感に代わる物がないから、みんな続けるのだと思います」
継続がチャンスを呼ぶという信念を持つひーぷーさんは、劇団活動をなるべく続け、後世に残る作品づくりを目標にしている。
「沖縄の演劇といえばこれ、という代表作で県内外公演を実現できたら最高です」
ふらっと気軽に劇場へ
5年前に二代目頭となり、間もなく在籍19年の新垣晋也(あらかき・しんや)さん。高校時代は音楽青年でバンド活動をしていたが、卒業と同時に解散。何をしようか迷っていた時に受けた歌のオーディションがきっかけで劇団を知り、入団した。
「役者を長く続けるとは思わなかったし、芸能人はお金持ちになれそうという憧れで入ったようなもの」と笑う。
入団当初演劇界の交流はなかったと振り返る新垣さんは、5年前に『日付変更線』という企画公演を始めた。
「僕らが中心になり役者や脚本家を集め、面白い舞台を作ろうと思いました。3週間で60作品、役者30数人で演じます。交流の場になり、お客さまも気軽に楽しめる。年末開催の演劇祭りです」
劇団のアピールとして、「見やすくて楽しい芝居をしています。遊び感覚で劇場に来てほしいですし、20周年公演は内容が頭に残らないかも(笑)。老若男女楽しめるコメディーで、僕自身がめちゃくちゃ楽しく演じています!」と話す。
別人になる楽しさ
在籍役者の中で一番のキャリアを持つのは、金城理恵(きんじょう・ りえ)さん。大学生のころお笑いライブを見に行って劇団を知り、「見学して今しかないと思い飛び込みました!」と語る。沖縄芝居も演劇も触れた経験がなく未知の世界だったが、安室奈美恵さんやドラマの影響で沖縄ブームが全国に広がり、「自分たちの文化や言葉に誇りを持っていいんだと思い始め、演劇活動と融合できる感覚で、最初の10年は続けました」と振り返る。劇団の強みは親しみやすさで、演劇鑑賞がデートコースになってほしいと願っている。
「女優の楽しさは別人になれる事。役作りで人間観察し、生真面目な殻を破ります。沖縄一のコメディエンヌと認められるのが目標」と華やかな笑顔を見せた。
観客の反応がやりがい
専門学校で演劇の授業を受け、魅力にはまったのが渡嘉敷直貴(とかしき・なおたか)さん。201
6年に入団した期待の若手だ。
「1年間フリーで活動していましたが、オゼが関わる市民劇に出演し、いい劇団だと思い入団したんです。演技力よりやる気や熱意を伝えました」
入団後は年間7~8本の公演に出演、忙しく過ごす渡嘉敷さんは観客の喜怒哀楽や反応に、やりがいを感じるという。
「表面的な目標は全国への旅公演。裏テーマは芝居でのお金稼ぎです」と笑顔を見せ、「20年の歴史を感じながら記念公演に臨みます。オゼはこういう劇団だと見ていただきたいのでぜひ来てください!」と頼もしいコメント。
演劇をまだ見た事がない人も常連さんも、20周年を祝いながら爆笑劇を楽しんでほしい。
(饒波貴子)
劇団O.Z.E 20周年公演
『西町警察』
6月8日(土)19時開演
6月9日(日)13時開演
会場:テンブスホール(那覇市牧志) (マップはこちら)
前売り券:大人2500円/小中高生1500円(当日は500円増し)
問い合わせ: ☎︎098-866-6118
〔オリジン・コーポレーション〕
Twitter @OZE20171
(2019年5月30日付 週刊レキオ掲載)