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子どもは助け合う天才 100cmの視界から―あまはいくまはい―(60)


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わが家の6歳の息子はご飯を作るのが大好き。親が起きる前に、冷蔵庫にあるおかずをお皿に盛り付けたり、サンドイッチを作ったりと、朝食を用意してくれることがあります。

彼が1歳半の時、私は2人目妊娠中で、朝早く起きる彼の相手がつらかったのです。そこで朝起きたら、机に置いてあるタッパーのおやつを1人で食べてもらうことにしました。

乳児を1人きりにして食べさせるのは危ないので、私は布団に寝ながら様子をうかがいます。朝のおやつが毎日の日課になった今では、1人でキッチンに行き、自分が食べたいものを選ぶのが楽しみのようです。そんな彼の夢はたくさんあるそうですが、ひとつは料理人になること。

私が「楽しみだな! ママが言ったらまけてくれる?」と聞いたら、「それはちょっと分からないな。でも障害者割引ならあるよ」と教えてくれました(笑)。電車や美術館などにある障害者割引が彼にとっては身近なようです。

5家族、子ども9人でキャンプへ。子どもたち、お手伝いの天才です!(撮影・河野麻美)

私も料理を作るのが大好きな子どもでした。小学校1年生の時は週2回、家族のためにおにぎり、みそ汁、サラダ、時には卵焼きやピクルスも作っていました。家族が「ありがとう! おいしい」と言ってくれ、とても楽しくて、うれしかったことを、今でも鮮明に覚えています。

でも後々「あのサラダには土がついていたよ」と姉から聞かされました。内緒にしてくれたおかげで、今でも料理をすることは好きなままです。相手の役に立つ喜びを十分に味わったおかげでしょう。

子どもはお手伝いが大好きで、助け合う天才です。自分でご飯を食べ、お出掛けの準備はスローペースなのに「ママ手伝ってあげる」と率先して手を貸してくれます。

ありがたいし、面白い反面、時間もないのだから自分のことを先に終わらせてよ、とイライラすることも。でも人の役に立つことがうれしいという気持ちは、大切にしたいですね。そして相手を助けてあげることと同じくらい、自分が困った時は「助けて! 手伝って!」とまわりに言えるようになってほしいです。

助けてあげるばかりだと、時にはやりすぎて、おせっかいになってしまうこともあります。また人は誰でも得意なこと、苦手なことがあるので、ヘルプサインを出せると困りごとを乗り越えることができます。誰かと一緒に生きていく安心感、楽しさがあって、助け合いが当たり前の毎日になってほしいです。

大人も子どもを見習って、どんどん助けてもらい、相手を助けていきましょう!

(次回は12月10日に掲載します)

伊是名夏子

いぜな・なつこ 1982年那覇市生まれ。コラムニスト。骨形成不全症のため車いすで生活しながら2人の子育てに奮闘中。現在は神奈川県在住。

 

(2019年11月26日 琉球新報掲載)