この夏、子どもが7歳と5歳になりました。歩けなく、骨折を繰り返し、車いすを使う私は幼稚園にも、普通の小学校にも通ったことがないので、わが子を通して新たな発見があります。小学1年生の息子には、私が通っていた特別支援学校の話もよくします。
「ママのクラスは、子どもがママ一人しかいなくて、1日中先生とママ、二人きりだったんだよ」
「何年何組何番だった?」
「1年1組1番だよ。ママはずっと1組1番」
「お当番はどうしたの?何班だったの?」
「ママしかいないから、掃除も先生と一緒にやったよ。班はママだけだからなかったよ」
息子の小学校は体験を通して学ぶこと、話し合いを大事にしています。好きなことを発表する時間が毎日あり、彼はダンゴムシやカブトムシ、図鑑やスケッチ、いろいろなものを持っていきます。それを見ながら、私の小学1年生の悲しかった思い出がよみがえりました。
担任の先生は私にとっては友だちのような、家族のような、大好きな人でした。そんなある日、宝物のおもちゃの指輪を見せたくて、学校に持って行ったのです。すると「学校には持ってきてはいけないよ」と言われたのです。
私の宝物を見てほしかっただけなのに。普通の小学校に通う姉は友だちを家に呼んで、好きなものを教えていて、私もそれがしたかっただけなのに。先生は家には遊びには来てくれないし、友だちとは違う、と初めて感じた瞬間でした。
学校にはいろいろな家庭環境の子どもがいて、その差が見えないようにした方がいい時もあるでしょう。でもそれは時に、現実を見ないことにもつながります。差がある中で、それに優劣を付けるのではなく、違うことの素晴らしさ、面白さを考えられるといいのに。自分の持っているものを分けてあげることもすてきだし、モノではないもので、楽しい過ごし方ができると最高です。
そして友だちに好きなものを紹介しあって、お互いの世界が広がると、楽しみが増える毎日になるでしょう。集団生活ではルールが必要な時もあるけれど、違いを大切にして、ありのままの自分を好きになり、自分らしさを磨いていけるといいですね。
子どもでも、大人でも、自分の好きなこと、嫌いなこと、得意なこと、苦手なことを、もっと話していきませんか? 好きなことや得意なことばかりを話されると、時には自慢されているようで嫌だなと思ってしまうかもしれませんが、負けずに自分のことも話しましょう。好きなことをシェアして、好きに囲まれる毎日は幸せですよ。
(次回は8月18日)
伊是名夏子
いぜな・なつこ 1982年那覇市生まれ。コラムニスト。骨形成不全症のため車いすで生活しながら2人の子育てに奮闘中。現在は神奈川県在住。
(2020年8月4日 琉球新報掲載)