ゆいレール奥武山駅近くにあるクラシックカメラの専門店が気になっています。中をのぞくとカメラがぎっしり並んでいて、マニアが喜びそうな空間です。気になるので、ぜひ調査してください。
(那覇市 フォトトギスさん)
クラシックカメラの専門店ですか。デジタルカメラが主流の今、フィルムを使う古いカメラは貴重なはず。さっそく現場に行ってみましょう。
超小型のスパイカメラも
やってきたのは、クラシックカメラ専門店「カメラのたかちよ」。店主の上原隆昭さん(80)が出迎えてくれました。店内に足を踏み入れると、カメラやレンズなどが所狭しと並び、秘密基地のような雰囲気です。「(クラシックカメラ)専門店は沖縄ではうちだけです」と話す上原さん。以前は数多くあったものの、今では唯一残る専門店だそうです。
オープンは1992年。カメラ好きの父親の影響でカメラに興味を持った上原さん。高校生の頃から、主に小型カメラを集めていたといいます。
お客さんの年齢層を聞くと、「20代~30代ぐらいの若い人が多いです。今フィルムで撮る文化が復活し始めていて、人気がありますよ」と答えてくれました。全国の中古カメラ店を紹介する書籍や雑誌、ネットに掲載されているので、県外のカメラ好きも訪れるそうです。
上原さんのコレクションは、一番古い1912年製のコダックをはじめ、ニコン、キヤノン、マミヤ、ミノルタ、ライカ、コンタックス、ミノックスなど、国内外のカメラやレンズなど約2千点。手のひらに収まってしまうほどの超小型カメラもあります。ミニカメラで有名なミノックスは細長い箱型で、スパイカメラとして使われていたといいます。
店内に並ぶカメラは全て使用可能というから驚き。「専門に修理をする人がいて、全部店頭に並ぶ前に整備されています」。現在は修理技術者が減っているため、県外からも修理の依頼が舞い込むそうです。
幻の「琉球製」「沖縄製」
他にも珍しいカメラがあるという上原さん。見せてくれたのは「MADE IN RYUKYU(琉球製)」「MADE INOKINAWA(沖縄製)」と書かれたカメラです。それぞれ復帰前、復帰後に製造されたものだそう。かつて沖縄で作られたカメラがあったなんて初めて知りました。
「ニューパックスという名前のカメラで、友人から譲ってもらったもの。沖縄の人も知りません。PX(米軍基地内の売店)に出すカメラだったからなんです」。それで一般には出回っていなかったのですね。
クラシックカメラの魅力を聞くと、「自分で全部操作しないと撮れないところ。シャッターを押すだけじゃないんです。露出計で光量を測って、絞り値やシャッター速度を決めるので、機械を使っている感じを楽しめます。そして、こういうカメラは一生使えるんです。電気式ではないので動かなくなっても修理すればまた復活します」
今はスマホやデジカメで簡単に写真が撮れてしまいますが、操作を楽しみながら撮影することが逆に新鮮でもありますね。生き生きと好きなカメラについて語る上原さんは、尋ねれば何でも答えてくれて、調査員も夢中になって話し込んでしまいました。クラシックカメラの奥深い世界を知り、現場を後にしたのでした。
クラシックカメラ専門店カメラのたかちよ
沖縄県那覇市鏡原町2-1
TEL:098-857-4653
営業時間:10:00~18:00
定休日:水曜
(2022年8月11日 週刊レキオ掲載)