骨董品とフレッシュな農産物あります リサイクル金城


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地域の人が集うリサイクル店
店内の様子を紹介

金武町にあるお店「リサイクル金城」には、時を重ねた品々がずらりと並ぶ。「どうやって撮るか?」とわいわい話し合った結果、店主の金城武久清(ぼくせい)さん(中央)、妻の睦子さん(右)、従業員の具志堅早苗さん(左)は、それぞれ一押しの商品を手に写真に収まった。店では地域の果物や野菜も扱っている。3人とのおしゃべりを目当てに訪れる人も多いようだ

沖縄自動車道金武インターチェンジを降り北上すると、すぐに左側に見えてくる「リサイクル金城」。外観を見て、気になっていた人もいるのではないだろうか。古いものに囲まれ、ついつい長居してしまう、不思議な魅力を持った場所だ。店内のベンチに腰掛けて、お客さんたちとおしゃべりをしつつ、関係者たちにインタビューした。

いしじゃゆんたく市場と隣接して建つ「リサイクル金城」。

店内に並ぶのは、陶器、古着、置き物や装飾品、食器、はく製など、古今東西の古いもの。メインとなるのは実用品ではなく、骨董品や、懐かしさを感じさせる品々である。初めて訪れる人は、近年の商業施設では感じない趣に身構えてしまうかもしれない。しかし、商品をじっくり眺めていると、古いものならではの個性に気付くはずだ。気になる商品があれば、店主・金城武久清(ぼくせい)さんや妻の睦子さんに尋ねてみよう。

漁師をしながら開店

「店で一番古いのはおっとー(武久清さん)だよ」

金城武久清 きんじょう・ぼくせい。1954年生まれ。潜水器漁師として約35年活躍し、10年前に引退。イノシシ駆除の仕事も請け負うほか、7000坪の畑で農業に携わる。地域の農家や個人商店から声がかかれば、手伝いにも出かけて行くバイタリティーあふれる人物だ。リサイクル金城のある土地は、町の中心地から離れているため電気水道が通るのが遅かった、と昔のことも教えてくれた

年代物の商品は何かと質問した記者に、睦子さんが冗談で切り返すと、居合わせた人々の笑いに包まれた。店内に設置されたベンチとテーブルでは、お客さんや、夫妻の親戚・友人がくつろぎ、おしゃべりを楽しんでいく。骨董マニアと思わしき人もやってきて、自身のコレクションについて語りだした。ここでは初対面の人同士も打ち解け合っており、記者も自然と話に交わる。店は憩いの場になっているようだ。

会社役員を経て、潜水器漁の漁師をしていた武久清さん。リサイクル金城を開店したのは約19年前のこと。仕事の傍ら、趣味で集めていた骨董品を販売しようと思い立ったのが始まりだった。

当時、自身が収集していたのはカーミ(やちむんの甕)や船の置き物。これに加え、石臼(いしうす)や石油ランプなど、お年寄りの家で処遇に困っていた古道具を買取ることで、品数を増やしていった。これまでによく売れたのは、古いキャンプ用品やホラ貝(県外の山伏修行者向け)、外国の硬貨だと言う。

店内に並ぶ商品たち。掘り出し物を求めて、長時間過ごす人もいる

リメーク品と農産物も

店内の一角には、リメークした古着や小物を売るスペースもある。こちらを手がけるのは従業員の具志堅早苗さん。紫虎(しと)という作家名で活動、収集やディスプレーに止まらない、リサイクル品の楽しみ方を提案している。ちなみに具志堅さん、「もともとリサイクル金城の常連客だった(笑)」という。店に通ううちに武久清さん、睦子さんと親しくなり、2年前から働き始めたそうだ。

この時季は店頭にパイナップルが並ぶ

店では、果物や野菜も取り扱っている。これから夏にかけて主力商品となるのはパイナップル。地域の農家から仕入れているほか、武久清さん自身も東村で栽培している。収穫期は具志堅さんと共に、朝4時に畑まで出かけるそうだ。収穫したパイナップルは、その日のうちに店頭に並ぶ。

古いものと農産物、地域の人々が集まることで、リサイクル金城には、いつも新しい話題がある。そんな環境にいるので、武久清さんは「働いている時が楽しい」と笑顔で教えてくれた。

(津波典泰)


リサイクル金城

金武町金武8238-13
TEL 098-968-2917

(2023年7月6日付 週刊レキオ掲載)