「ホロホローの森」歩いてみたら…!?【島ネタCHOSA班】


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最近、周囲で八重瀬町の森から海まで遊歩道を歩いたという話を聞きます。何がどうなっているか、詳しく調べてくれませんか?

(はっちゃん・南城市70代)

また面白い調査依頼が飛び込んで来ましたね。

最初にヒントを探るべく向かったのは、八重瀬町の観光拠点施設である「南の駅 やえせ」。ゆっくり館内の情報を見ていくと、質問にあった場所は「ホロホローの森」という名前らしいことが判明。しかも、南の駅から近そう。

子どもも大人も楽しめる

探してみると「去年の1月に、ホロホローの森に家族で行きましたよ」という人がいたので、話を聞いてみました。

川口真美さんと桜さん

毎週末のように子どもとトレッキングやキャンプなどに出かけているという川口真美さん。「SNSだったかな、誰かの情報を見てホロホローの森の存在を知りました。名前は可愛いけど、ガッツリ山歩きしましたね(笑)。最後は海に出ましたが、1月だったので寒くて、すぐに引き返しました。うちの子ども(桜さん)は当時5歳ですが、楽しかったようで、1回もぐずることなく、抱っこも休憩もなく、元気に往復しましたよ。坂道がキツイところは、子どもと、しりとりしたり歌ったり。ウチの主人も、山道を先導してくれて助かりました」と笑顔。桜さんも「楽しかった~」と照れます。

草花木に生命が舞う

もう少し情報を掘り下げるべく、今度は八重瀬町役場に電話。案内された八重瀬町観光物産協会に問い合わせてみると、「はい。たしかに町内でホロホローの森のまちあるきをやっていますよ」との回答。

嘉数千秋さん

「八重瀬町ガイドの会」事務局でガイドの嘉数千秋さんによれば『森から海へ ホロホローの森の植物』というガイドツアーを実施しているとのこと。全7コースのガイドツアーのうち、ホロホローの森は特に人気だそうで、ツアーの日程を増やしたと話します。そんなに人気なコースなら、余計に見てみたい!

後日―。嘉数さんの案内で「南の駅やえせ」から正面に見えるこんもりとした大きな森に向かうこと数分。森の入り口には「探勝歩道 572・6m」とあります。これが今回の質問者さんがいう「遊歩道」ですね!

ホロホローの森のみどころの一つ、カジュマルトンネル

森では、森の谷の木々の間から木漏れ日が差し込み、たくさんのチョウが舞います。目の前には大きなクワズイモの葉。「この葉は子どもたちによく『食べられるの?』と聞かれますが、残念ながら食べられません(笑)。チョウは、太陽の光が差し込む場所によく集まります。近くにチョウが好きな木があるので、いっぱいいますね。今の時期は、色んなところでオオジョロウグモを見るかも」。

オオゴマダラ
ナナホシキンカメムシ

いつもは、家にクモがいたらギャーと逃げる調査員。クモの巣の真ん中を陣取る大きなオオジョロウグモをたくさん見かけましたが、そのたびにまじまじと観察。自然の中で見る生き物は美しく、間近に飛ぶオオゴマダラにも感動。

「オオゴマダラは優雅にゆっくり飛びますよね。でも毒を持っているので、敵から身を守って優雅に飛べている側面があります」

ホロホローの森の名前の由来となった木「ヤブニッケイ(方言名:ホロホロー)」

ホロホローの森の名前の由来となっている「ヤブニッケイ(方言名:ホロホロー)」や、ガジュマルトンネル、国指定天然記念物の「オカヤドカリ」と「ムラサキオカヤドカリ」。ありとあらゆる生命が共存する姿は神秘的で、葉に集合体でくっつく「ナナホシキンカメムシ」と生の「キクラゲ」を見かけた調査員は大興奮。すっかり森に癒やされ、ゴール地点の具志頭海岸でめいいっぱい息を吸い、元気満点に帰途についたのでした。


〈取材協力〉

「八重瀬町ガイドの会」

TEL 090-8351-8870
※台風の影響でガイドツアーは順次再開予定

「八重瀬町観光拠点施設 南の駅やえせ」

八重瀬町字具志頭659番地
TEL 098-851-3824

 

(2023年8月24日 週刊レキオ掲載)