私がハーブと出合って約30年、初めは珍しい植物として、大切に特別扱いをしていましたが、今ではほったらかしのスパルタ栽培でも勝手に育ち、頼もしい限りです。この頃では「ハーブって何?」と聞く人もないほどに定着し身近な植物になりました。 「ハーブ」とは庭や花壇を彩り、料理を引き立て、爽やかな香りで人々をいやすなど、衣食住に広く用いることで暮らしを豊かにする植物の総称です。何よりも有用な成分を持ち合わせているのが最大の魅力でしょうか。
遠い異国の香り草ですが、今では沖縄の真夏の暑さや、台風までも味方に付けて、亜熱帯の気候風土にすっかりなじんで来た様子。世界各地に同じ植物が育っていても国によって活用法はさまざまです。
沖縄には沖縄の暮らしのスタイルや好みがあります。「ウチナー育ちのハーブ」を使い、オンリーワンの商品が続々と誕生し好評を得ています。沖縄の伝統的な文化と上手に混ざり合うことで付加価値を高めたようです。
今後、世界はますます厳しい自然環境の変化が懸念され、エネルギーや食糧など深刻な問題が起きるでしょう。そこで、ハーブを含む「有用植物」の栽培や活用法の研究は必要かつ重要になると思われます。若者たちに、夢を託し応援したいと思います。幼い時期から植物に興味と関心を持てる環境を整えてほしいものです。植物との関わりは不思議がたくさんあって、飽きずに楽しめます。
五感を刺激すると言われる「ハーブ」を見かけたら、ぜひ一度、摘んで香りを嗅ぎ、かじってみてください。甘くはないですが、どこか懐かしさを感じることは間違いなしです。
(NPO法人有用植物研究会 翁長周子)
(2014年11月28日琉球新報掲載)